「時間を使いこなすプロになるために」
時間の使い方が下手である、と実感したのは、起業家といわれる人たちと話をするようになってからである。それも、短期間で成果を出そうとしている人である。
忙しそうにみえるが、仕事が速い。その場で、できることとできないことを判断して、適切な言葉で説明してくれる。かなりややこしい案件でも、打ち合わせは短期間で終わる。そういう人に出会うたびに、なぜそんなに円滑に仕事ができるのだろうか?と聞くようにした。すると、3年後の自分のイメージをはっきりさせて、それにむかって具体的な仕事をこなしていく、という。ほとんどの人は、そのようなイメージを持つことなく漫然と仕事をし、時間を使っているのである。
先日も、弁護士にややこしい案件について法律相談をお願いするために出かけた。説明に40分かけた時点で、「あの、今日はどれくらい時間をいただけますか?」と確認すると、50分後に別の打ち合わせがあるという。では、と「アドバイスをいただけますか?」というと約15分間にわたって適切なアドバイスをいただくことができた。60分の打ち合わせで、ややこしくなっていた現実のビジネスをすっきり整理できた。もっと時間がかかると思いこんでいたのは私だけだったのだろう。それにしても「もっと」とは何分のことだ?
スマートに時間を使うプロとの打ち合わせの場にいると、時間の流れが変わるのだ。
そのような快感を持続的に味わうために、時間術についての書籍は、1ヶ月に1冊程度は定期的に読みこんでおきたいものだ。仕事のノウハウを頭の中に定着させるために、1冊の新書はたいへんお値打ちだろう。
本書に書かれていることに目新しいことはない。それでも、本書をオススメするのは、時間の使い方を効率的にすることはノーリスクであること、そしてその行動変化から得られるリターンは大きいということが、ストレートに伝わってきたからである。
時間に追われる生活から抜け出すためには、時間もまた投資価値のある資源であるという自覚をもつことだろう。この自覚は試行錯誤によってしか、身につかない。ならば、試行錯誤をした先輩のノウハウを真似することで、より成果が得られやすくなるだろう。
あわてることなくじっくり読んで欲しい。