書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

第1位 『博士の愛した数式』 小川洋子

博士の愛した数式

→紀伊國屋書店で購入


(新潮社/税込1,575円)


あらかじめ失われることが前提の物語は、おとぎ話というにはあまりに切なく暖かい。毎日記憶がリセットしてしまう老数学者と,そこに通うことになった家政婦の私、阪神タイガースファンの息子10歳。3人で過ごした奇跡のような1年とその後。最初のページから予感にあふれています。美しい物語です。いつかすべてを忘れ去ったとしても、たとえ別れの日が来ようとも、他人をここまで大切に思えるなら、あのやさしい日々は確かにあったし、思い出せばいつでも暖かな気持ちになれる。そんな出会いがこの本の中にはあります。

〔新宿本店・平野〕

→紀伊國屋書店で購入