書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

紀伊國屋書店スタッフによる書評的空間

『コーチKのバスケットボール勝利哲学』マイク・シャシェフスキー/ジェイミー K・スパトラ(イースト・プレス)

→紀伊國屋書店で購入 本書『コーチKのバスケットボール勝利哲学』は、アメリカの大学バスケットボールNCAAのデューク大学ヘッドコーチ、「コーチK」ことマイク・シャシェフスキーの本である。デューク大ではNCAAチャンピオン4回、レギュラーシーズン通算90…

『憲法の常識 常識の憲法』百地章(文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 「「憲法」と国のかたち」 昭和22年(1947年)5月3日、前年の11月3日に時の内閣総理大臣・吉田茂率いる吉田内閣下で公布された日本国憲法が、この日、施行された。 「憲法の常識 常識の憲法」と題しその日本国憲法(昭和22…

『血のジレンマ―サンデーサイレンスの憂鬱』吉澤 譲治(NHK出版)

→紀伊國屋書店で購入 1991年 米国から輸入された1頭の種牡馬が日本の競馬界に革命をもたらした。彼の名は“サンデーサイレンス”。優秀な競走成績を残しながらも、血統的には高い評価をされなかったため、母国米国では種牡馬となれず、日本に来たといわれてい…

『徳川夢声のくらがり二十年』徳川 夢声(清流出版)

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 「失われたものの数え方」 3月11日の震災当夜遅く、やっと動き出した地下鉄車内でたまたま取り出した本が、高田理恵子さんの新著『失われたものを数えて』(河出ブックス)だった。タイトルに…

『哲学への権利』西山雄二(勁草書房)

→紀伊國屋書店で購入 「終わりなき学問」 「脱構築とは制度という概念がつねに問題となる制度的実践である」―ジャック・デリダ こう聞くと、「ああもう無理。哲学は難しい。何のこっちゃ分からない。」と拒絶反応を示してしまう人が多いと思う。私もその一人…

『これからの「正義」の話をしよう』マイケル・サンデル(早川書房)

→紀伊國屋書店で購入 「今、「正義」を問いただす」 昨年(平成22年)の上半期も終わりに近づいた頃、1冊の本が正に「革命的」とも言うべき一大ムーブメントを起こした。 ハーバード大学教授マイケル・サンデル氏が、自身が大学で講義する政治哲学の授業…

『The Bed of Procrustes : Philosophical and Practical Aphorisms』Nassim Nicholas Taleb(Random House)

→紀伊國屋書店で購入 「現代のニーチェ(?)の言葉」 2007年に原書が出た『ブラック・スワン』の衝撃は忘れられない。その年の大晦日に徹夜して読了したが、その後、完徹の読書をしてないような気がする…。 2009年に邦訳が出たとき、ビジネス書として売り出…

『量子の社会哲学―革命は過去を救うと猫が言う』大澤 真幸(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 去年読んだいくつかの本に共通して出てきたモチーフが“量子力学”だった。――めでたく大団円を迎えた沖縄SFマンガ『ナチュン』、三島賞受賞の『クォンタム・ファミリーズ』、ベストセラー『宇宙は何でできているのか』。 『ナチュン』や…

『The Meaning of Friendship』Mark Vernon(Palgrave Macmillan)

→紀伊國屋書店で購入 「友情の意味」 友人のいない人生ほど、さみしいものはない。恋人がいなくても、友人がいれば人生は生きるに値する。恋人とちがって、友人のあるなしは、いくつになっても大事である。定年後、職場外の友人もなく暇を持てあます夫を見て…

『イタリア古寺巡礼―ミラノ→ヴェネツィア(とんぼの本)』金沢 百枝 小澤 実(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 一般的にネガティブなイメージを持たれがちな西欧中世ですが、本書はイタリア北部のロマネスク教会を中心に、カワイイ、ユーモラスな、とぼけた、美術作品や教会装飾の写真を多く紹介することで、そうした中世美術に対しての親近感を与…

『Merchants of Culture』John B. Thompson(Polity)

→紀伊國屋書店で購入 「21世紀の出版ビジネス」 2010年は、「電子書籍元年」の掛け声が盛んだった。おびただしいジャーナリズムの記事が書かれているが、何か食い足りない。どれも皮相な現象を追うことに終始していて、肝心の「本」はどこへ行ってしまうのか…

『44 Letters from the Liquid Modern World』Zygmunt Bauman(Polity)

→紀伊國屋書店で購入 「リキッド・モダンの世界からの44通の手紙」 このごろ思想界で大モテのオジイサンといえば、ポーランド出身の社会学者ジークムント・バウマン(英リーズ大学名誉教授)。1925年生まれというから、今年で御年85歳か。著書がどんどん訳さ…

『ストーリーとしての競争戦略――優れた戦略の条件』楠木建(東洋経済新報社)

→紀伊國屋書店で購入 本の売れ行きを日々眺めていると、つくづく、ビジネス書ってたくさん出てたくさん売れるものだと感心する。もちろんジャンルを問わず売れる本もあれば売れない本もあり、そもそもジャンルという区切りも微妙に曖昧ではあるが、それにし…

『ノルマン騎士の地中海興亡史』山辺 規子(白水社)

→紀伊國屋書店で購入 王(女王)を選ぶ際に諸侯たちは、外国人だから、異教徒だから、まだ幼いから、体がデカイだけで馬鹿だから、辞めさせ易いはずと甘く考える。しかし一旦王権を手にするや、したたかな才覚を現す者が歴史に名を残すのだ。 ノルマンのイメー…

『大学論――いかに教え、いかに学ぶか』大塚英志(講談社現代新書)

→紀伊國屋書店で購入 仕事柄なるべく目を通しておいたほうが良い類の本があって、大学や出版や電子書籍といったテーマの本は、どうしても手にとってしまいがちだ。で、今回はまさにその名の通りの『大学論』。大塚英志氏が神戸の大学でまんがを教えているこ…

『ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争』デーヴィド・ハルバースタム(文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入〈上〉 →紀伊國屋書店で購入〈下〉 朝鮮戦争は、米国人にとって「忘れられた戦争」「歴史から見捨てられた戦争」であるという。米国と中国の参戦によって戦線は膠着状態となり、「Die for a tie」、引き分けるために死ぬ「二流」の戦争と…

『Reading the OED : One Man, One Year, 21,730 Pages』Ammon Shea(Perigee)

→紀伊國屋書店で購入 辞書を読むなんて、何でも電子志向の昨今ではナンセンスかもしれない。検索でヒットする答えを見つけたらハイ次というスピード感でないとついていけない世の中だと多くの人が感じ、そのように動いている。 辞書を引くという行為は、ただ…

『ダリ・私の50の秘伝』ダリ,サルヴァドール(マール社)

→紀伊國屋書店で購入 ダリがピエロの事を書いているのを読んでいたら、Lavin経由でファンアイク>、そしてパノフスキー「象徴としての遠近法」(ちくま学芸文庫)にぶつかった。こういう事があるから読書は楽しい。 もとよりダリの絵画に縁はない。蟻や鍵付き…

『逝かない身体―ALS的日常を生きる』川口 有美子(医学書院)

→紀伊國屋書店で購入 「技術は人を救う、難病や末期であればなおのこと」 辛い?苦しい?が繰り返されるなかでさまざまな工夫や智恵が生み出される末期の看病と、そこにたしかに存在する希望とを私は描いてみかったのですが……。そう思うとなおさら、今の医療…

『キリストの身体―血と肉と愛の傷』岡田 温司(中公新書)

→紀伊國屋書店で購入 ドーバーを渡ってメッス経由でコルマールまで車で行き、通名グリュネバルトの「イーゼンハイム祭壇画」を見たことがある。特に考えなどなく、ただ人口に膾炙した傑作をこの目で見てみたかっただけなのだ。しかしこの祭壇画は全く違って…

『本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか』永江朗(ポット出版)

→紀伊國屋書店で購入 「出版流通を理解し、考えるために」 平成21年7月、出版業界において画期的な書籍が出版された。 「希望小売価格」と表示されたこの書籍は、ある商品の生産者または供給者が卸・小売業者に対し商品の販売価格を指示し、それを遵守さ…

『神と仏の出逢う国』鎌田東二(角川学芸出版)

→紀伊國屋書店で購入 「神仏でにぎわう年末年始に!」 まさに「師走」の慌しさが追いかけてくる。しかし、これを乗り切れば、一年間おつかれさまでした、となる。 年末年始は、にわかに神とか仏が気になるシーズンだ。クリスマスという異国の神のお祭りもあ…

『マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統』ポーコック,ジョン・G.A.(名古屋大学出版会)

→紀伊國屋書店で購入 良い行為もしくは正しい行為は、たとえ、それが神と人間に知られることなく、隠されたままだとしても、良い行為、正しい行為であるだろうか?(ハンナ・アレント「政治の季節」筑摩書房) 再びマキャヴェベリが静かなブームである。どう…

『Global Linguistics : An Introduction』Marcel Danesi & Andrea Rocci(Mouton de Gruyter)

→紀伊國屋書店で購入 「英語を通じて異文化に触れる―日本にこそ「グローバル言語学」を」 言語や文学の世界は、「英語青年」「月刊言語」休刊に象徴されるような冬の時代を迎えている。しかし、わたしたちが「ことば」を用いて日々生きている以上、その探究…

『The Little Stranger』Sarah Waters(Virago/Little Brown)

→紀伊國屋書店で購入 「Unputdownable ― 怖いけれどやめられない」 創元推理文庫から邦訳がこれまで3点出ている気鋭女流の新作。エンターテイメント性の強い推理小説の本流というより、登場人物の心理を巧みに紡ぎながら緊張を高めていくそのスタイルは、し…

『ディオニュソスの労働―国家形態批判』アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート(人文書院)

→紀伊國屋書店で購入 神は、ディオニュソスに対して、山頂に石を積み上げる永遠の労働を命じた。石は頂上に積むたびに崩れ、山麓まで転げ落ち、いつまでたっても苦役は終わらない。同じように、「長い目で見ればわれわれはみんな死んでいるだろう」(J.M.ケ…

『NPOと観光振興』清水一憲(あさを社)

→紀伊國屋書店で購入 「若者の強き言挙げ」 新世紀を迎え9年。今も尚、日本を取り巻く環境は大きな転換期を迎えている。 その大きな転換の流れの1つが地方分権問題である。 従来、我が国の体制は中央集権であり、それが確立した時代には当時の必然性があっ…

『マッカーサー』増田弘(中公新書)

→紀伊國屋書店で購入 「目からウロコの日米戦争史」 マッカーサーといえば、コーンパイプをくわえて厚木飛行場へ降り立つ姿が有名だろう。余裕にあふれた勝利者の姿だ。しかしその行動はチャーチルに言わせれば「戦争中の数々の驚きの中で、もっとも勇敢なも…

『本は世につれ―ベストセラーはこうして生まれた』植田康夫(水曜社)

→紀伊國屋書店で購入 「本は世につれ?」 ベストセラーというと、どういうイメージだろうか? 書店の目立つところに、やたらと積まれている。あれがコワくて書店に行けないという人がいる。気持ちはわかる。自分もベストセラーはめったに読まない方だ。 しか…

ボージョレ・ヌーボー解禁間近!世界のワイン情報は海外マガジンでチェック!

●年6回刊「CUISINE ET VINS DE FRANCE」(フランス) ●月刊「DECANTER」(イギリス) ●年17回刊「WINE SPECTATOR」(アメリカ)ワインの季節がやってきた。ワインの生産地として有名なフランス・ボージョレ地区の新酒、ボージョレ・ヌーボーが11月16日に解禁…