書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

キノベス!2005

第1位 『サウスバウンド』奥田英朗

→紀伊國屋書店で購入 (角川書店/1,785円/4048736116) 「やはり活動家・上原一郎は只者ではなかった!」息子の二郎ならずともそう叫びたくなる父の破天荒ぶりには脱帽する。だがラストシーンは「やはり父・上原一郎は偉大だった」と言わしめるくらいの男気…

第2位 『東京タワー』リリー・フランキー

→紀伊國屋書店で購入 (扶桑社/1,575円/4594049664) 何の為に生きるのか?愛する為に生きている。どこにでもいるフツーのオカンの話です。誰よりも、自分よりも子を愛し、守り、育てる母という存在。ああ、根っこの話だなあ、読み終わってそう思いました。…

第3位 『死神の精度』伊坂幸太郎

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,500円/4163239804) 晴天を知らない、超雨男。こよなくミュージックを愛する男。名前は「千葉」。その職業「死神」。死を目前にした人間の調査のため、死ぬことを知るはずもない本人と過ごす、7日間の奇妙な交流。微妙にリ…

第4位 『告白』町田 康

→紀伊國屋書店で購入 (中央公論新社/1,995円/4120036219) 河内弁で語られる呪われた魂の記録。思弁的な思考大系をもちながら、実際の言動が伴わず、その不一致に悩む主人公、熊太郎が殺人者になるまでの道程を圧倒的な言葉の渦で描く。現代日本に落とされ…

第5位 『東京大学のアルバート・アイラー』菊地成孔・大谷能生

→紀伊國屋書店で購入 (メディア総合研究所/1,680円/4944124198) 今年さらに4冊単行本を出しさらに大ブレイクの鬼才菊地成孔!あちこちの雑誌などに記事が掲載されたので、名前を見て、気になった人も多いのでは?名前の読み方はキクチナルヨシ。この本は、…

第6位 『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,800円/4163239103) 四頭の軍用犬から始まる「20世紀」という物語。イヌの視点で語られる「もうひとつの現代史」物語の緊密度と独創性において「世界文学」レベルに到達した史上最強の犬小説。 【相澤哲洋・新宿本店】 戦…

第7位 『ナラタージュ』島本理生

→紀伊國屋書店で購入 (角川書店/1,470円/404873590X) 生涯に1度だけ1人だけ、そんな恋。「やっべぇなぁ…」と生涯の恋に既に出会ってしまっている方はこの本を読むと共感しまくってはまりまくってしまうので要注意です。「そんな人にはまだ出会ってないんで…

第8位 『その日のまえに』重松 清

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,500円/4163242104) 本書は愛する人の死に遭遇することで幸せの意味を発見するという短編連作作品です。感動と涙なしにはとても読めません。“その日”とは死を迎える日のことを云いますが、“そのまえ”は死を宣告された時の…

第9位 『厭世フレーバー』三羽省吾

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,680円/4163242007) うわあぁぁ・・・この小説応援したいぃぃ!!! よくある家族小説と思うことなかれ! 近頃女性作家の家族ものが傑作続きだったけど、それらとはまた違う身体性がここにある。家出した父親が最後まで帰って…

第10位 『失踪日記』吾妻ひでお

→紀伊國屋書店で購入 (イースト・プレス/1,197円/4872575334) 失踪からホームレス2回、アルコール依存症による強制入院1回。赤裸々な告白日記。「自分には関係ない」と思っているあなた。「関係ないけど、読めば効く」と思ってください。何に効くか、と言…

第10位 『アースダイバー』中沢新一

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/1,890円/4062128519) ゴジラやモスラは何故、東京タワーをめざすのか?縄文の「死霊の王国」跡に立つ「タナトスの塔」だからだ!縄文から続く無意識が東京をつくる。ホンマかいな?と思いつつ、散歩の仕方、街の見方が革命的…

第12位 『さくら』西加奈子

→紀伊國屋書店で購入 (小学館/1,470円/4093861471) 世界は、家族は、美しくて、貴い。こんなに温かくて優しくて切ない物語を私は読んだことがない。笑ってしまうほど不器用で、涙が出るほど真摯で、あきれてしまうほどまっすぐな、そんな家族の物語。私の…

第13位 『古道具中野商店』川上弘美

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/1,470円/410441204X) 川上弘美の文章を読んでいると日本語の美しさを実感できる。古い言葉の言いまわしを丁寧に使用しているところがとても好きだ。この本の個性あふれる1人1人がとてもチャーミングで読み終わった後静かな充…

第14位 『明日の記憶』荻原 浩

→紀伊國屋書店で購入 (光文社/1,575円/4334924468) 読み終わってからずっとタイトルの意味について考えている。若年性アルツハイマーに侵された主人公は忘れないようにメモをとる。妻の名前、娘の名前、孫の名前。どんなに辛く、悲しい作業だろう。それで…

第15位 『夕凪の街 桜の国』こうの史代

→紀伊國屋書店で購入 (双葉社/840円/4575297445) 考えさせられます。ゆっくりと進む何気ない日常を描いた物語の中から、被爆者の忘れられないあの日の出来事。そして生きているというだけで感じてしまう罪悪感。やわらかく描いてあるからこそ、逆に原爆の…

第16位 『きょうの猫村さん 1』ほしよりこ

→紀伊國屋書店で購入 (マガジンハウス/1,200円/4838715951) 猫なのに家政婦の猫村さん。得意料理はネコムライス。今日も縦結びのエプロン姿で、外国へ行ってしまった坊ちゃんを想って頑張ります。1日ひとコマが積み重なって1冊の漫画になりました。猫好き…

第17位 『容疑者Xの献身』東野圭吾

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,680円/4163238603) 数字だけが生きがいだった男が、愛する女を守る為に完全犯罪を目論む。ラストにそれまでほとんど感情を表に出さなかった天才数学者が見せる情愛の心はまさに「献身」。誰もが一気読み確実で読者をつか…

第17位 『となり町戦争』三崎亜記

→紀伊國屋書店で購入 (集英社/1,470円/4087747409) 日常生活の些細なことが町の中で積み重なり、世界を動かしている。僕があの道を歩いたせいで、見知らぬ誰かが死んだかもしれない。けれど、間接的なことの結果など知る由も無い。僕達は知らぬ間に歯車に…

第19位 『檸檬のころ』豊島ミホ

→紀伊國屋書店で購入 (幻冬舎/1,470円/4344007476) 私の中学、高校時代って普通だった。だけど今思えばちっぽけな事でも、当時は全然普通なんかじゃなく精一杯で一生懸命だった。恋愛だって部活だって勉強だって。地味でいたって普通だった私でも、胸が苦…

第20位 『素数ゼミの謎』吉村 仁・石森愛彦

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,500円/4163672303) 素数ゼミ???大学のゼミの話やミステリーではありません。聞きなれない言葉ですが、アメリカで大発生するアノ『セミ』の話です。「なぜ13年と17年なのか?」「なぜこんなに長年かけて成虫になるのか?」…

第21位 『幸福な食卓』瀬尾まいこ

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/1,470円/4062126737) さり気ないユーモアあふれる文章が魅力です。淡々として読みやすいので気軽に読み進めていたのですが、いつしか大きく心を揺さぶられている自分に気が付きました。この著者の言葉の力はすごい!人と人の…

第22位 『花まんま』朱川湊人

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,650円/4163238409) 「花まんま」を読んだ人は懐かしいと言う。20代も30代も40代も。パルナスを知っているひとも知らない人も。それは多分、レトロに作られた昭和の町並みを平成生まれの少年少女たちが懐かしいと感じる事…

第23位 『シリウスの道』藤原伊織

→紀伊國屋書店で購入 (文藝春秋/1,799円/4163240209) 「渾身の一冊」という言葉がこれほどぴったりくる小説はほかにないのでは?人と組織を描き切り、その鮮烈さと酷薄さで痛快で爽快な気分と哀しく切ない気持ちを同時に味わってしまった。 【秋田元二・福…

第23位 『決断力』羽生善治

→紀伊國屋書店で購入 (角川書店/720円/4047100080) 棋士とは一体何を考えているのだろう。たとえば情け容赦なく飛車、角を切り捨てて敵陣に突っ込むという局面…これはもはや紛れもない「凶行」ではないか?羽生善治は超然と断言する。「意表を突かれること…

第23位 『HAPPY NEWS』日本新聞協会

→紀伊國屋書店で購入 (マガジンハウス/1,000円/483871601X) 「今日も日本のどこかでHAPPY生まれています。」感動っていうほど大げさなものではなく心の養分となりえる記事が結構載っているのです。その一部だけでも覗いてみませんか?それだけで少し心が温…

第26位『あの戦争は何だったのか』保阪正康

→紀伊國屋書店で購入 (新潮新書/756円/4106101254) 衝撃的だった。戦後60年の今、世界中で戦争は行なわれ、テロの恐怖におびえている。この一触即発の混沌とした今こそ、あのトキ何があったのか、人々の目に何が映り、耳や心には何が響いたのか、知ってお…

第26位 『希望格差社会』山田昌弘

→紀伊國屋書店で購入 (筑摩書房/1,995円/4480863605) 「宝くじでも当てるしか…」と思っているワタシももはや負け組なのでしょう。親の職業や収入で、子どもの将来はスタート時点で既に差がついている。頑張っても先が見えている今の日本社会を身も蓋もなく…

第26位 『沼地のある森を抜けて』梨木香歩

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/1,890円/4104299057) ぬか床がうめく?ファンタジー?半信半疑で読み始めた。ところが、細胞、菌類、遺伝子、生物の授業で習った事が出てくる。読後、あまりに壮大な余韻に引きずり込まれてしまった。一番近い言葉で表わすな…

第29位 『天使のナイフ』薬丸 岳

→紀伊國屋書店で購入 (講談社/1,680円/4062130556) 子供たちはみんな天使。そして、その天使達は、誰もが、心にナイフを持っている。被害者が、加害者に、そして、その加害者が、やがて被害者になる。少年の犯罪を、加害者と被害者の両面からよく見ていく…

第30位 『本当はちがうんだ日記』穂村 弘

→紀伊國屋書店で購入 (集英社/1,470円/4087747662) こんなにダメダメな俺は本当の俺じゃない!もっとカッコイイ自分―エスプレッソを心から美味しいと思い、風邪を引いた女の子のお見舞いに気のきいたオシャレな品をさらりと持っていけるデキル男としての人…