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『Nurtureshock : New Thinking about Children』Po Bronson, Ashley Merryman(Twelve)

Nurtureshock : New Thinking about Children

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「間違った子育ての常識と、新たな考え方」


 今、ニューヨークで小学2年生の息子を持つ親として、子供とどう接するかはいろいろ悩むところだ。息子は、3歳の時に言葉の発達が遅れているとされスペシャル・エデュケーションを受けていた。自閉症(オーティズム)の恐れもあるとされて、普通の幼稚園ではなく発達が遅れた子供たちだけのための園にも1年間通った。

 しかし、小学校入学前に人から勧められてギフテッド・クラス(知能が高く、才能がある子供たちだけのためのクラス)の試験を受け合格し、彼はスペシャル・エデュケーションのクラスから一転して英才クラスに通うようになった。言葉の方もいまはうるさいくらい喋っている。

 その数年間に、僕と妻の宮家あゆみは、ニューヨーク州保健局、セラピスト、幼稚園、州政府指定の能力評価員、ニューヨーク州教育局、先生などと渡り合い、いかに親として周囲の思惑や助言を取り入れたり、排除したりして、息子に最も適した環境を作り出して行くかを学んだ。セラピストのなかには、息子がいつまでも通っていた方がお金になるので、「彼の学習能力は進んでいるが、いまだに重大な遅れがある」というレポートを出して彼を手放そうとしない人や、州からの補助金の都合かどうかは分からないが「彼は普通の幼稚園では生き残れない」とする園長などと戦った。

 その時の問題は、人々が本心からそう言っているのか、自己利益のためにそのような評価をしているのかがはっきりしないところにあった。最後の決断はいつも、毎日息子の行動や言動に接していた、親としての「感」だった。

 という訳で、ニューヨークでの子育ては今も手探り状態なので、今回紹介する「NurtureShok」は大変面白く読めた。

 内容は、いままで正しいと信じられていた子供の育て方が、実は子供にとって悪影響さえ及ぼすことがあるという事象を、多くの調査結果をもとに紹介しているものだ。

 最初の章にでは、子供は褒めて育てた方がいいという育て方に疑問をてい呈している。特に「君は頭がいい」という一言。これは子供たちに自尊心や自負を植えつけ、その結果としてよい成績や人生を得てもらおうという考え方だ。しかし研究結果は、高い自尊心や強い自負を持つ子供の成績の方が、そうではない子供よりよいということはなく、またよい職業につくという結果にもつながらなかった。そのうえ、自尊心や自負と飲酒や暴力との関係も見られなかった。

 ニューヨーク市で5年生を対象とした調査では、一度あるやさしいテストを受けさせその結果に対し子供たちを「君は頭がいいからこのテストができた」という褒め方したグループと、「君はほんとうによく努力した」という褒め方をした2つのグループに分けた。そして、次に子供たちにもう一度テストを受けさせるのだが、この時、1度目のテストよりも難しい、しかしより調査の助けとなるテストと、1度目と同じくらいやさしいテストを受けることができる選択を与えた。結果は努力を褒められたグループの90%が難しいテストに挑戦し、頭のよさを褒められたグループの大半がやさしいテストを選んだ。

 大人から褒められることは子供たちにとってとても嬉しいことだ。そのため、頭の良さを褒められた子供たちは、頭がよく「見える」結果を求め、失敗を恐れたためにやさしいテストを選んだと考えられる。

 調査はさらに続き、3度目のテストでは中学1年レベルの問題を与え、全員がひどい得点になるようにした。ここでも2つのグループは、その結果の対応に違いがあった。努力を褒められた子供たちは、テストに集中していなかったと結論づけ、正しい答えを出せるようにいろいろ試すと答えた。そして、3度目のテストが「一番好きなテスト」だと答えた。一方、頭のよさを褒められたグループは、低い得点を目の前にして自分たちは本当は頭がよくなかったんだと落ち込んだ。

 そうして、4度目、最後のテストは1度目のテストと同じくらい簡単なものが与えられた。結果、努力を褒められた子供たちは約30%テストの平均点を伸ばした。一方、頭のよさを褒められたグループは約20%テストの平均点を下げた。

 この調査結果は、自分たちに成功の鍵を握る力があることを分からせることが重要だと教えている。頭のよさは生まれもっての資質であり、自分のコントロールがきかない。そこで、資質を頼りにした子供たちは失敗に直面したときの対処方法が分からなくなってしまった。

 結論としては、子供を褒めるときに子供たちのコントロールが利かない部分を褒めるのではなく、「頭脳は筋肉のようなもので使えば使うほど、頭がよくなる」ことと「よく努力した」ことを言うことで、子供の能力を伸ばすことができ、「生まれもっての頭のよさ」を褒めることは悪影響を及ぼすことがあるということだ。

 このようなこれまでの子育ての常識をくつがえす、あらたな考え方が「睡眠」「才能」「反抗期」「兄弟・姉妹」「学習教材」「自己コントロール」などの分野で調査結果をもとに示されている。

 子育てをおこなううえで、この本を読むと読まないのでは、大きな違いがあると想像できる本だ。


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