書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

アビジット・V・バナジー、エスター・デュフロ『貧乏人の経済学』(みすず書房)

Theme 9 開発のこれまでとこれから www.kinokuniya.co.jp 本書の謝辞にも登場するトマ・ピケティさんの『21世紀の資本』をまだ読んでいない人はそちらを先送りにしてでもまず、こちらをひもといてみてほしい。ミクロ経済学ならではの具体的エピソードがどれ…

ダニ・ロドリック『グローバリゼーション・パラドクス』(白水社)

Theme 8 来るべき決断の時 www.kinokuniya.co.jp TPPをめぐる交渉は記憶に新しい。なぜ日本はワシントンのロビイストを動員してアメリカにTPP推進議員連盟を作ったのか? それでもなぜアメリカ議会ではTPPが批准されそうもないのか? 経済学者は自由貿易を賛…

ヴォルフガング・シュトレーク『時間かせぎの資本主義』(みすず書房)

Theme 8 来るべき決断の時www.kinokuniya.co.jp リーマンショックが起きたとき、政治部記者として自民党を取材していた。福田康夫が政権を投げ出して麻生太郎が首相に就任、一気に解散総選挙に打って出ようとしていた矢先のことだった。その後の展開は周知の…

清岡智比古『パリ移民映画』(白水社)

Theme 7 残響の移民たち www.kinokuniya.co.jp 恥ずかしいことにどうも映画に不案内な人生を歩んできてしまったので、読みはじめる前には、何の話かまったくわからないということになったらどうしよう、という不安がよぎりましたが、その心配はありませんで…

森千香子『排除と抵抗の郊外』(東京大学出版会)

Theme 7 残響の移民たち www.kinokuniya.co.jp 2015年1月、シャルリ・エブド社襲撃事件。11月、パリ同時テロ事件。2016年7月ニーステロ事件。 この2年足らずで、フランスの抱える〈移民問題〉がわが国でも急激にクローズアップされた。実行犯の多くがフラン…

シドニー・デッカー『ヒューマンエラーは裁けるか』(東京大学出版会)

Theme 6 リスクへの備え www.kinokuniya.co.jp 本書の原題は、Just Culture: Balancing Safety and Accountabilityである。Just Cultureは専門用語で、意味は「公正な文化」と訳すのが正確なようだ。この「ジャスト」は「ジャスティス」(justice=正義、公…

キャス・サンスティーン『最悪のシナリオ』(みすず書房)

Theme 6 リスクへの備え www.kinokuniya.co.jp 2011年の原発事故後、放射能を「正しく怖がる」という表現が使われた。寺田寅彦も1935年の浅間山の小噴火に際して「正当にこわがる」という表現を使った(「小爆発二件」)。しかし、どうすれば「正しく」怖が…