ごあいさつ
五月祭で何か面白いことがしたいと思い、東大にふれてもらうという五月祭のコンセプトの中で人々に興味を持ってもらえることは何なのだろうと考えたとき、「本」と東大生というのは関わりの深いもので本を通して東大生の本質を捉えることができるのではないかと思い、この企画を行いました。
本を借りるとき、100人には単純に、「あなたのおすすめの本を貸してください。」としか言っていません。
そう言われたときに100人の東大生はいったいどんな本を差し出すのか、そこに一つの東大の縮図が見えるのではないかと思っています。
そんな企画を今回、書評空間内の1つのコーナーにすることができました。
100冊のリストとコメントを見て、少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。

東京大学 農学部 3年 賈 一丁

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2011年07月11日

『14歳からの哲学 考えるための教科書』池田晶子(トランスビュー)

14歳からの哲学
考えるための教科書
池田晶子

理学部・男性

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14歳からの哲学 考えるための教科書

1.この本との出会いはいつですか?

中学生か高校生のとき親が買ってきた。

2.どんな内容の本ですか?

難しい用語を使わずに説明した哲学の入門書。14歳でなくとも楽しめる。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

普段じっくり考える機会がないが、誰しも一度は経験したことのある哲学的思考に無理なく誘ってくれる。テーマは「人生の意味」や「生と死」、「恋愛」など、身近なものばかり。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

答えのない問題を考えることはそれ自体楽しいし、他の分野にも通じる能力だと思う。少なくとも、「考えてみれば、不思議だな」という感覚を大いに経験できて面白かった。

『THE SELFISH GENE』Richard Dawkins

THE SELFISH GENE
Richard Dawkins

理学部・男性

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THE SELFISH GENE

1.この本との出会いはいつですか?

高校の時の国外研修でイギリスに行った際にふらっと立ち寄った本屋で薦められていたのがこの本でした。話の種に買って読んでみたところなかなかおもしろく、その頃から暇なときに少しずつ読み進めてかなり時間をかけて読了しました。

2.どんな内容の本ですか?

進化とは何か、また生物とは何か、という問題に対し遺伝子を中心に据えて論じている本です。進化、というテーマはなかなかとっつきにくく、かつ誤解されやすいものであると思いますが、その考え方を科学的な知識を特に学んでいない人にもわかり安い形で述べています。その上で「geneが次の世代へ伝わること」が生物の行動、形態、繁殖戦略などの全てを決定する要因となっている、という考え方を読者に伝えようとする内容となっています。様々な実例を示しながら議論を進めるため、多種の生物の興味深い生態が分かると同時に、納得しながら「gene」について理解していくことができると思います。
大学での進化関係の講義でもたびたびその書名が挙がるほど、広く知られている本でもあります。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

ひとつ目は、進化の考え方を丁寧に、一般向けに説明している点です。現在進化という言葉は日常的に使われていますが、生物の世界における「進化」の意味合いと異なった形で使われているケースもかなり多いように思います。この本は多少まわりくどい程の例示を行うことで、生物の「進化」とは何か、を誤解を招くことなく伝えていると思います。進化を考える上でのベースとして遺伝の仕組みから説明しているところも適切だと思います。
二つ目は、遺伝子を中心に据えて生物を見る、という視点を提示している点です。繁殖戦略や行動は、自分で決定しているようで遺伝子による制御を受けている、生物は結局遺伝子の「乗り物」に過ぎない、という主張は、読者の生物の捉え方を大きく変えるものだと思います。著者の主張は多少極端とも言えるもので必ずしも読者全員が賛同できるものでは無いです(実際に、読者から送られてきた批判的な感想が前書きに書かれていたりします)。それでも一つ新しい観点を一般の読者に提供できる点で、自分はこの本を意味のあるものと考えます。
ちなみに邦訳も出版されているので、是非一読ください。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

自分がとった行動は本当に自分の意志で行ったものか、それとも遺伝子によって命じられて行ったものなのか、を時々考えるようになりました。例えば何かを食べたい、と思うのは遺伝子がその乗り物を生存させるためにエネルギーを取り込むよう命令しているからなのかなぁ、とか。本当に時々、ですが(笑)
あとは、進化について多少自分なりの意見を持てるくらいになった、という程度です。

『パプリカ』筒井康隆(新潮文庫)

パプリカ
筒井康隆

理学部・男性

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パプリカ

1.この本との出会いはいつですか?

今年の四月(大学三年の春)@ブックオフ

2.どんな内容の本ですか?

精神科女医が夢に入り込んで精神病の原因を探りつつ仲を深めていったりする。するとある日世界征服に巻き込まれ…

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

読んでて飽きないし、理屈っぽいSFなところ

4.この本からどのような影響を受けましたか?

ちょっと夢を気にするようになった

『最後の将軍』司馬遼太郎(文春文庫)

最後の将軍
司馬遼太郎

理学部・男性

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最後の将軍

1.この本との出会いはいつですか?

前月(4月)

2.どんな内容の本ですか?

徳川慶喜視点からの幕末を描いた歴史小説

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

視点がよくある幕末志士側ではなく、その対の体制側視点であるという斬新さ。 崩れゆく体制トップの苦悩と諦観の描写。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

多様な視点

『生命とは何か』シュレーディンガー(岩波新書)

生命とは何か
シュレーディンガー

理学部・男性

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生命とは何か

1.この本との出会いはいつですか?

大学一年の秋ごろ。授業でシュレディンガー方程式が出てきた時期に偶然出会った。

2.どんな内容の本ですか?

生命現象を量子物理的な考え方で説明する仮説が書かれていて、分子生物学の先駆けとして重要だと思う本。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

研究者としての発想力のすごさ。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

分野の垣根を越えたところに新たな発見の可能性があることを知り、より広い視野を持つことの重要性を意識するようになった。

『日々の泡』ボリス・ヴィアン(新潮文庫)

日々の泡
ボリス・ヴィアン

理学部・女性

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日々の泡

1.この本との出会いはいつですか?

中3~高1のころ?その時期に小説が好きで友達とお互いの読んだ小説の話をよくしていて、その期間に紹介されたものだったはず。

2.どんな内容の本ですか?

背表紙のコメント曰く「人生の不条理への怒りと自由奔放な幻想を結晶させた永遠の青春小説。『20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説』と評される最高傑作。」
あるいは美しいファンタジー、シュールで時に残酷なユーモアを秘める悲恋小説、と表現できるか。
ただ、その類いの形容はこの本をあまりに狭い枠に押しこめ歪める。
主人公コランの演奏でその時どきに変わるカクテルを調合する「カクテル・ピアノ」を、
粗塩をかけるとシャボン玉をふきだすコランのバスマットを、肉桂入りの砂糖の匂いのする小さな薔薇いろの雲を、
肺の中から睡蓮の花が育つ奇病に命を奪われゆくヒロインのクロエを、
ほかにどのような言葉で説明することができるだろう?

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

上に述べたような独特の世界観。
クロエはじめ女性登場人物たちの、時に痛ましさをにおわせる奔放な美しさ。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

とくに影響は、、受けてない笑
ただ、読んでこのような感覚を覚える小説は私の中には唯一無二。
「切なくなる」といえばわかりやすいのかもしれないけど。
読んでいただければ伝わると思う。この本を好きだと思う感性の人がいれば話してみたいな、と感じる。

『日本人の英語』マーク・ピーターセン(岩波新書)

日本人の英語
マーク・ピーターセン

理学部・男性

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日本人の英語

1.この本との出会いはいつですか?

約1年前

2.どんな内容の本ですか?

ネイティブ・スピーカーである筆者が、日本人の書く英文によくある間違いを取り上げている

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

筆者の体験に基づいて書かれていて、お話としても面白い。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

英語的な考え方を意識するようになった

『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』中島らも(集英社文庫)

僕に踏まれた町と僕が踏まれた町
中島らも

理学部・女性

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僕に踏まれた町と僕が踏まれた町

1.この本との出会いはいつですか?

中学生のとき。

2.どんな内容の本ですか?

鬼才中島らもが自身の学生時代を振り返る青春エッセイ。
ちなみに中島らもの小説では、「今夜、すべてのバーで」がおすすめ。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

エッセイというと、自分が好きな作家でないと読む気が起こらないものだが、本著に関しては、中島らもを知らない人にも自信を持って薦められる。
ユーモア溢れる筆致と、著者の感性が魅力。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

「人間的魅力とは何か」について考えるようになった。
常識や偏差値に囚われている薄っぺらいエリート諸君に、是非とも中島らもを知って欲しいと思う。

『綿いっぱいの愛を!』大槻ケンジ(角川文庫)

綿いっぱいの愛を!
大槻ケンジ

理学部・男性

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綿いっぱいの愛を!

1.この本との出会いはいつですか?

数年前。元々ロック歌手として敬愛していた著者の書籍も読もうと一念発起して衝動買いした最初の作品。

2.どんな内容の本ですか?

筋肉少女帯をはじめとしたロックバンドのボーカリストであり作家、詩人でもある人間サーチライト、オーケンこと大槻ケンヂが贈る、主にトホホな体験とそこから得たアイデアを綴った失笑エッセイ。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

アホでトホホな話の随所に、オカルト、SF、映画、文学など幅広く、そして大いに偏った知識と機知に富んだ示唆(ツッコミ?)がオーケンならではの切り口でちりばめられている点。満員の通勤電車の車内で読もうものなら、ムフムフと含み笑いをしてしまい周囲に空間が開けること請け合いである。しかし、結構イイコトも言っていて、フムフムと考えさせられることもきっと一つくらいはあるだろう。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

「知」は制約のないものだと気づかされた。大学などからのお墨付きを頂いたクラシックな学問体系から逸脱した(させられた)知識は「知」たりえないのか?そんなはずはない。分厚くてお堅い教科書に凝り固まって拘泥するだけでは、人生は面白くない。そんな具合に、知ることの自由を考えさせられた作品である。

『卍(まんじ)』谷崎潤一郎(中公文庫)

卍(まんじ)
谷崎潤一郎

理学部・男性

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卍(まんじ)

1.この本との出会いはいつですか?

ゼミでの課題図書選定の際。結局別の本になったが、最終候補まで残った本。

2.どんな内容の本ですか?

ネタバレになっても宜しくないので、某サイトからのあらすじを引用するにとどめます↓
光子という美の奴隷となった柿内夫妻は、卍のように絡みあいながら破滅に向かう。官能的な愛のなかに心理的マゾヒズムを描いた傑作。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

あらすじだけからでは、いかにもいかがわしい印象しか受けない作品であるが、それを「いやらしい」と感じさせない所が、文豪谷崎と言われる所以だと思う。ちなみに、この本は関東大震災の後に神戸に移住してから出来上がった作品であり、震災前後での作品の変化を考察しながら読めば、昨今の大震災前後の我々の状況と多少なりとも重ね合わせることができるはず。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

影響、と言われるとパッとは思いつかないが、こんな内容の本を名作たらしめる才能に、どんな題材でも書き手の手腕次第で名文にも駄文にもなり得る事を改めて痛感した。お手すきの際に一読を。