ごあいさつ
五月祭で何か面白いことがしたいと思い、東大にふれてもらうという五月祭のコンセプトの中で人々に興味を持ってもらえることは何なのだろうと考えたとき、「本」と東大生というのは関わりの深いもので本を通して東大生の本質を捉えることができるのではないかと思い、この企画を行いました。
本を借りるとき、100人には単純に、「あなたのおすすめの本を貸してください。」としか言っていません。
そう言われたときに100人の東大生はいったいどんな本を差し出すのか、そこに一つの東大の縮図が見えるのではないかと思っています。
そんな企画を今回、書評空間内の1つのコーナーにすることができました。
100冊のリストとコメントを見て、少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。

東京大学 農学部 3年 賈 一丁

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2011年07月11日

『THE SELFISH GENE』Richard Dawkins

THE SELFISH GENE
Richard Dawkins

理学部・男性

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THE SELFISH GENE

1.この本との出会いはいつですか?

高校の時の国外研修でイギリスに行った際にふらっと立ち寄った本屋で薦められていたのがこの本でした。話の種に買って読んでみたところなかなかおもしろく、その頃から暇なときに少しずつ読み進めてかなり時間をかけて読了しました。

2.どんな内容の本ですか?

進化とは何か、また生物とは何か、という問題に対し遺伝子を中心に据えて論じている本です。進化、というテーマはなかなかとっつきにくく、かつ誤解されやすいものであると思いますが、その考え方を科学的な知識を特に学んでいない人にもわかり安い形で述べています。その上で「geneが次の世代へ伝わること」が生物の行動、形態、繁殖戦略などの全てを決定する要因となっている、という考え方を読者に伝えようとする内容となっています。様々な実例を示しながら議論を進めるため、多種の生物の興味深い生態が分かると同時に、納得しながら「gene」について理解していくことができると思います。
大学での進化関係の講義でもたびたびその書名が挙がるほど、広く知られている本でもあります。

3.この本のどういうところが好きですか?
(抽象的にでも具体的にでもいいです)

ひとつ目は、進化の考え方を丁寧に、一般向けに説明している点です。現在進化という言葉は日常的に使われていますが、生物の世界における「進化」の意味合いと異なった形で使われているケースもかなり多いように思います。この本は多少まわりくどい程の例示を行うことで、生物の「進化」とは何か、を誤解を招くことなく伝えていると思います。進化を考える上でのベースとして遺伝の仕組みから説明しているところも適切だと思います。
二つ目は、遺伝子を中心に据えて生物を見る、という視点を提示している点です。繁殖戦略や行動は、自分で決定しているようで遺伝子による制御を受けている、生物は結局遺伝子の「乗り物」に過ぎない、という主張は、読者の生物の捉え方を大きく変えるものだと思います。著者の主張は多少極端とも言えるもので必ずしも読者全員が賛同できるものでは無いです(実際に、読者から送られてきた批判的な感想が前書きに書かれていたりします)。それでも一つ新しい観点を一般の読者に提供できる点で、自分はこの本を意味のあるものと考えます。
ちなみに邦訳も出版されているので、是非一読ください。

4.この本からどのような影響を受けましたか?

自分がとった行動は本当に自分の意志で行ったものか、それとも遺伝子によって命じられて行ったものなのか、を時々考えるようになりました。例えば何かを食べたい、と思うのは遺伝子がその乗り物を生存させるためにエネルギーを取り込むよう命令しているからなのかなぁ、とか。本当に時々、ですが(笑)
あとは、進化について多少自分なりの意見を持てるくらいになった、という程度です。

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