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2006年09月04日

『アースダイバー』中沢 新一(講談社)

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 中沢先生は修士課程を受験した際の副面接官だった。僕はあまり宗教学には興味がなかったので、いや実は興味はあったのだが難解で歯が立たなかったので、中沢先生と個人的な接点はなかった。せいぜい、格好をつけるために何回か旧約聖書を購入しては挫折した経験があるくらいだ。
 中沢先生のゼミは学内で異彩を放っていた。そもそもシラバスに「まともな社会人としての将来を考えているなら、こないほうがいい」と書いてあった。確かに、中沢ゼミの留年率は異様に高かったし、バングラデシュに行ったまま行方の知れない人や、チベットに旅立ったまま帰ってこない人がざらにいた。
 それなのに、中沢ゼミの女子率は非常に高く、しかも綺麗な子がそろっていた..ように思う。僕は情報系のゼミで、当然のように男ばかりの環境だったので、ずいぶんうらやましい環境だと妬んだものだ。ただ、その女子学生たちは基本的に中沢先生の直掩隊なので、中沢ゼミに入っていた男子学生は、あまりいい思いはできなかったようだ。僕も中沢先生の比較宗教学で友だちとしゃべっていたら、中沢ゼミの女の子に「静かにするか、出て行ってください」と怒られたことがある。
 というわけで、9年におよぶ在籍中ほとんど接点がなかったのだが、一度だけ二人で話をさせて頂いたことがある。そのときに、「OSI基本参照モデルね、あれ7階層だけど、その上に政治層と宗教層が必要だよ」と言われた。そもそも宗教学の先生の口からOSIモデルの話が出たことに驚いたが、アプリケーション層の上位に政治と宗教..いったいどう実装すればいいんですか? 途方に暮れた。
 今回紹介するのは、その中沢先生の「アースダイバー」だ。この本を読んでいると、比較宗教学(ほとんど覚えていない)の講義の合間に挿入されたエピソードを思い出す。グノーシス主義のことは忘れてしまっても、それらの記憶は当時の教室まで再現できるほどに鮮明だ。中沢新一の講義(の合間)の雰囲気を味わいたい人にも是非。

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