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2005年11月02日

『失敗の本質』野中 郁次郎 ほか(中公文庫)

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 あまりにも有名な書籍なので、このブログの趣旨からは外れてしまうのではないかと思ったのだが、出版後20年を経過したこと、続編が市場に投入されたこともあり、取り上げてみた。
 研究のドメインとしては、とてもオーソドックスな組織論にフォーカスしている。一般的な評価としては、この本が秀逸なのは「失敗」という切り口で組織論を取り上げたことであると言われている。確かにベストプラクティスというのは多くの場合、眉に唾を付けて読まなければならないので、失敗事例を丹念に調査・分析する手法は好感が持てる。
 あと一つ、個人的にこの本が成功した要因だと認識しているのは、取り上げられている事例がすべて戦記である点だ。刊行当時、私はまだ学生だったが、出入りしていたIT企業の中で非常に話題になっていた記憶がある。コンピュータ好き=(アニメ好き)=ミリタリ好き の等式が成立しがちなSE層の心にとても響いたようだ。
 学術論文ではないので、批判的に読もうと思えばアラも見つけられるが、この分野を学ぼうという人にとっては必読の書だと思う。ただ、20年を経て刊行された続編『戦略の本質』は、論考の甘さと章ごとの記述のばらつきが目立つ内容となっている。定価で購入しても元は取れるが、前作と同じ水準を期待すると少しがっかりするかも。

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