« 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』アルバート ・ ラズロ ・ バラバシ(NHK出版 ) | メイン | 『 グーグル・アマゾン化する社会』森 健(光文社) »

2007年05月10日

『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル ブライソン(日本放送出版協会)

人類が知っていることすべての短い歴史 →bookwebで購入

「科学の歴史を楽しく学ぼう」

広い範囲にわたる科学の現状や発見の歴史について楽しく学ぶのに絶好の本である。
技術を扱う仕事をしている理系の人間でも、 「原子の中身はどうなってるの?」 「宇宙の果てとかビッグバンとかってわかってるの?」 「地球の中身はどうなってるの?」 「バイオって流行ってるみたいだけど何が面白いの?」 といった質問全部にちゃんと答えられる人は少ないだろう。 本書を読めば、 このような様々なテーマの研究の現状や歴史について楽しく学ぶことができる。
量子論から宇宙論、生命に到る広い範囲について、 人類が知っていること「すべて」を解説しようというのは 壮大で無茶な試みに聞こえるし、 実際買うのを躊躇するほど厚い本なのだが、 教科書的な無味乾燥さを全く感じさせることなく 科学者の人間模様や発見の歴史を魅力的に描きながら 幅広い分野の基本的な知識を解説することに見事に成功している。 すべてを順番に読まずに興味のある分野だけ読んでも大丈夫である。
ブライソン氏は「ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー」などの著書をもつベストセラー作家で、 科学については全く素人だったそうだが、 一念発起して科学の歴史や現状を勉強して本書を書き上げたらしい。 ベストセラー作家だけあって語り口は軽妙である。 科学史が語られるとき普通は科学者の人格などについては語られないものだが、 本書では科学者のゴーマン伝説だの不倫関係だの 科学の内容と関係なくて教科書に載らないような裏話も 発見の歴史と組み合わせて語られているので、 分厚い本なのに飽きることなく読み進めることができる。 様々な物語を楽しみながら科学知識もついてしまうお得な本だと言えるだろう。
扱っているテーマが多岐にわたっているため、 各テーマについての解説量は多くないが、 細かいエピソードに到るまで参考文献や情報ソースが明記されており、 さらに深く勉強するための手がかりとすることもできるだろう。
科学の堅い知識を身につけるには 「ガリレオの指」のような啓蒙書が向いているのかもしれないし、 超ひも理論や宇宙論など人気の分野については ブルーバックスをはじめとする一般書や専門書が沢山出版されているが、 広い範囲の科学的知識を楽しく身につけるためには本書は最適である。 現在の科学の面白さについて少しでも興味がある人に自信をもっておすすめしたい。

→bookwebで購入

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://booklog.kinokuniya.co.jp/mt-tb.cgi/1944