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2010年10月31日

『社会貢献でメシを食う』竹井善昭(ダイヤモンド社)

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「社会貢献でメシを食うための具体的な方法がわかる」

 このブログの更新頻度が下がっているのは二児の父親となり、生活時間と、仕事時間のコントロールがまだうまくいっていないため。二児の育児をしているのは妻。それを手助けしているのが僕。妻が二人の子供に付き添っている時間を10としたら、僕は3くらいだろう。
 比較的、育児に協力的な僕でも、こういう妻の約30%しか時間を捻出できない。もっと時間を作ることができるはずだ。もっと育児の時間を濃密にできるのはないかな。

 そういうせかせかした生活をしているときに、本書を読んだ。

 社会貢献についての書籍はかなり読んできた。もう飽きてもいいころだろう、と思いながら活字を追う。おもしろい! 社会貢献という分野には、まだ大きなフロンティアがある! そういう気づきがあっておもしろいのだ。

 のような人物が社会貢献の分野に参入して、書籍を書き、社会貢献ブームに乗りなさいよ、楽しいよ、とアジテートしているからだ。

 著者の竹井善昭はマーケティング・コンサルタント。この立場から、社会貢献コンサルタントにも進出したキャリアの持ち主。したがって、社会貢献分野についての根(アイデンティティ)はコンサルである。当事者性はほとんどない。そのことを強みにするべく、竹井は、グローバルに活動するRoom to readというソーシャルベンチャーの東京オフィスに関わる。発展途上国に図書館をつくり教育支援していくというこの団体の設立者の前職は、マイクロソフトのオーストラリア・オフィスのマーケティング・ディレクターである。
 マイクロソフトで鍛えたビジネス手法を、発展途上国の教育環境改善に振り向けることで圧倒的なスピードによる社会変革を成し遂げようとしている。観念的な社会改革ではない。ひとつの分野にターゲットを決めて、目標を設定し、教育制度の荒廃という社会問題を解決していくのである。ワクワクする現場をつくれば、カネも人も集まっていく。
 この東京オフィスに飛び込むことで、竹井は新しいビジネススキルと、ソーシャルベンチャーマインドを学んでいく。
 僕のようなユニークフェイス当事者で、文筆業という自営業しか知らなかった人間からすると、あちゃー、組織マネジメントができる人が本気になるとこうなるのか? と勉強になった。竹井はいま53歳なので、体力のピークが下がってもここまで到達できるのだ、という驚きがあった。
 いま20代から30代でばりばり社会起業に取り組んでいる若者であれば、方法さえ間違えなければ、もっと遠くに、行けるだろう。夢を実現できる。夢とは社会をよりよい方向に変えることだ。

 本書が使える!と思ったのは、徹底的な現実主義に基づいているからだ。会社を辞めることなく、会社員としてできること、たとえばプロボノ、という方法があることを明示している。彼自身、Room to readのプロボノである。
 営利企業でさえ、必死の経営をしなければならない。非営利、社会貢献分野は発展途上。ここで成果を出すことは容易ではない。その容易でないことを、しっかり書き込みつつ、展望を具体的に指し示している。

 社会貢献活動はおもしろい!


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