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2008年11月27日

『勝間和代の日本を変えよう』勝間和代(毎日新聞社)

勝間和代の日本を変えよう →bookwebで購入

「日本を少しずつ確実に変えるための知恵」

 経済評論家の勝間和代さんの新刊です。私はこの人の著作の多くに目を通しており、「もうそろそろ勝間さんから卒業かな」と思っていたのですが、書店で本書を手にとって、即購入してしまいました。
 びびっときたのは、資本主義の限界を超えようとする動きが、世界中の意識の高い人たちのなかで巻き起こっており、その主役がNPOやNGOという組織を運営している社会起業家たちであるという記述でした。そしてその後の分析が秀逸でした。

 どういう人が社会起業家になっているのでしょうか。
 勝間さんの分析によれば、第一に、夢に燃えた高学歴な人たち。給料は度外視しても、社会的に意味のあることをしたいという人たち。特徴的なのは女性が多いと言う点。これは日米共に共通していることだという指摘でした。第二に、多くのお金を儲けた人たち。ビルゲイツ氏のようなビジネスの成功者です。

 「結局、ある程度お金から自由になれる立場か、あるいはすでに稼いできたということで余裕がある人でないと、このような活動に参加するのは難しいということです。そこにこういったNPOやNGOが継続して活動していくうえでの難しさがあります。金銭的な報酬のリターンに限界があるため、NGOやNPO内でキャリアが積みにくく、数年で辞めていく人がどうしても多いのです。これは、日本でも、他国でも、同じ状況です

ああ、やっばたそうだよね!
 小さなNPO法人の代表者として、これらの分析はひとつひとつ納得できるものでした。
 社会起業に投資するファンドもあるのですが、投資に値する動きそのものが少ない、ということも教えられました。

 まだ始まったばかりの社会起業のあら探しは簡単ではありますが、その分析をする手際の良さには、正確な情報に基づく分析と、資本主義の先にあるものを見通して、若者に引き継いでいこうという誠意がありました。

 いまや格差社会問題の論客になった作家、雨宮処凛さんとの対談、ワーキングマザーの漫画家、西原理恵子さんとの対話。それぞれ個性的な人生を送ってきた人たちに、スーパーキャリアウーマンである勝間さんがどう切り返すのか、という好奇心も満たすことができて、たいへんお得な一冊になっています。
 勝間本に流れるメッセージは多数あります。本書では、資本主義と女性の関係について教えられました。
 資本主義が円滑に運営されるためには女性が働くべきなのに、日本社会は厳しく女性を差別し雇用を保障してこなかった。そのツケが回ってきているということでした。
 少子化とは、女性たちが自分の人生を守るために、日本社会から静かに退場するという行動の結果のあらわれ。勝間さんとて、その退場者の一員であるという記述にはため息が出ました。外資で働く女性とは、日本社会のルールから解放されるのですから。日本社会の女性差別を変えるためのコストはとんでもなく高くつきます。そのコストを払うことは、自分の人生を棒に振ることになるかもしれない。それならば、日本のルールが通用しない海外移住、外資就職、または、専業主婦、という選択をすることになるわけです。日本の男性優位のルールで決められた会社は、女性には働きにくいことこのうえなし。変わるとしたら、自然に上の世代が亡くなっていくことを待つしかないのかもしれません。
 もうすこし勝間本のブームを楽しもうと思います。


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