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2009年09月25日

『検閲と文学――1920年代の攻防』紅野謙介(河出書房新社)

検閲と文学――1920年代の攻防 →bookwebで購入

「河出ブックス」の創刊ラインナップ紹介を続けていきます。紅野謙介さんの『検閲と文学――1920年代の攻防』です。

紅野さんは、日本大学文理学部教授。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化のひろがりのなかで文学をとらえる試みを続けていらっしゃいます。

大正から昭和へと時代が移り変わる激動のさなか、検閲の嵐が文学を直撃するのですが、その渦中の人間ドラマを描いてゆくのが今回の本です。頻繁に検閲処分を受けた『改造』を中心に、円本(文学全集)誕生の経緯も交えながら、文学史の裏面に迫ります。

紅野さんから読者のみなさんへのメッセージです。

「本格的な言論統制の前夜、権力による検閲に対して文学者や出版人は政治的な立場をべつに、広範な抗議運動を展開しました。その顚末を追いかけた本書は大正末から昭和初期を背景にした日本近代文学史・検閲暗闘編のつもりです。」

目次(章タイトル)は以下のとおりです。

はじめに
第1章 検閲へのアプローチ
第2章 出版法と新聞紙法
第3章 山本實彦と雑誌『改造』創刊
第4章 「内閲」という慣行
第5章 二つの戯曲――藤森成吉「犠牲」と倉田百三「赤い霊魂」
第6章 一九二六年七月のミステリー
第7章 文藝家協会と発売禁止防止期成同盟
第8章 抗議運動の亀裂と円本の登場
第9章 中里介山『夢殿』と切取り削除
あとがき

第6章の「ミステリー」とは!?

*****

紅野謙介の、「この〈選書〉がすごい!」

「筑摩叢書や新潮選書もいいですが、網野善彦『無縁・公界・楽』や藤田省三『精神史的考察』、鶴見俊輔『太夫才蔵伝』など、それぞれの著者の代表作となっているものが並ぶ平凡社選書が企画と編集、それに応えた著者と三拍子そろって感嘆ものです。」

地に足のついた企画の数々は、わが河出ブックスも大いに見習いたいところです。


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