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2006年11月30日

『ネットワークはなぜつながるのか』 戸根勤 (日経BP社)

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 ネットワーク技術に関する入門書はずいぶん読んだが、この分野では本書はもっともすぐれた本といっていいと思う。

 ネットワーク技術の本はOSI7層モデルを解説してからTPC/IPにはいるという構成をとっているものが多い。OSI抜きで、いきなりTCP/IPを解説する本もあるけれども、階層モデルを外側から見ている点は同じである。

 本書は読者自身がWebブラウザから送りだされるリクエスト・メッセージになったかのように書かれている。われわれはTCP/IPの階層を降りてインターネット網に飛びだし、宛先のWebサーバーに着くまでの旅を疑似体験することになる。本書を読み進むうちに、われわれはTCP/IPの階層構造を内側から見るという得がたい体験をするのだ。

 階層を降りるたびにメッセージがどのように変形され、どんなヘッダーがつけくわえられるかも具体的に書かれている。このシリーズの成功作は目に見えない抽象的な機能を、まるで手でふれることができるかのようにリアルに描きだしているが、本書の美点もまさにそれで、Socketの正体がTCP/IPソフトの内部にあるメモリ領域であり、そのメモリ領域で何がおこなわれるかもスローモーションで描きだされている。

 素人にはこんな細かい話は不要だと考える人がいるかもしれないが、たとえ話でごまかされるより、詳しく書いてくれた方がわかりやすいということがあるのだ。インターネットの仕組を知りたい人にはお勧めである。

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