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2006年11月29日

『情報はなぜビットなのか』 矢沢久雄 (日経BP社)

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 名著『コンピュータはなぜ動くのか』で著名な矢沢久雄氏がコンピュータ基礎論に挑んだ本である。シャノンの情報理論、標本化定理、グラフ理論、ハノイの塔、代表値……とおなじみの話題がならんでいる。

 矢沢氏はコンピュータがブラックボックス化する以前の手作り時代にもどり、コンピュータの反応を手で触れそうにリアルに描きだすのが得意だが、抽象的なコンピュータ基礎論をどう料理しているのだろうか。

 結果は――残念ながら期待はずれで終わった。

 シャノンの情報量についてはこう定義している。


変化するパターンの中から選択できるもの



 考えに考えた末の定義だということはわかるが、これではハートレーの情報量になってしまう。確率論やエントロピーとの関係を抜きにしてまで単純化するのはいかがかと思う。

 グラフ理論やハノイの塔もありきたりの解説で終わっていて、矢沢氏得意の手でさわれそうなリアリティまでいっていないし、身近な問題にリンクしてもいない。読者はなぜこんな役に立ちそうもない勉強をしなくてはいけないのか、得心がいかないだろう。

 コンピュータ基礎論の解説書としては魅力がないが、リレーショナル・データベースについて解説した十章と、コンピュータの世界の偉人の業績を紹介した十二章はおもしろかった。

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