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2009年02月20日

『男道』清原和博(幻冬舎)

男道 →bookwebで購入

昨年10月1日に最後の打席を空振り三振で飾って引退したプロ野球選手、清原和博の自叙伝である。書店の目立つところに平積みされており、この書評ブログで紹介しなくても良さそうに思われる。が、思わず買って読んでみたところ、実におもしろかったのだ。よくある「暴露本」とは違い(もちろん「今だから語れる真相」にも事欠かないが)、清原という一途な男の気持ちが行間からひしひしと伝わってくる。

私は特に熱烈な野球ファンではない。「三丁目の夕日」時代の男の子が皆そうだったように近所の空き地で草野球はした。しかし、どちらかと言えばプラモデルを作っている時間の方が充実していたし、大人になってからも日刊紙のスポーツ面で報道されること以外は知らずに過ごしてきた。現在も「ジャイアンツが負ければ心安らぐが、ジャイアンツ以外のどのチームが勝つかにはさほど興味がなく、選手の名前でも読み方に自信のないものが結構ある」という、一般野球ファンからしてみれば極めて不謹慎なオッさんである。だがそんな私でも楽しめた。

本書は清原が今までの半生を自ら綴った体裁になっているが、文章すべてが清原自身によるものだとは思わない。しかし書かれている内容は、まさに清原のことである。PL時代、プロになる際に生じた桑田との明暗、パリーグ西武での活躍、そして遅ればせながらもあこがれの巨人のユニフォームを着ることになったものの、その後の不振に対処するためアメリカで過激なトレーニングを積んだこと、次から次へと清原を襲う故障の数々、そして、そして…。

「番長清原ストーリー」は、週刊誌などを通じておもしろおかしく報道されてきた。もちろん週刊誌の記事をそのまま100%鵜呑みにする人は少ないだろう。「どこまで本当なのかねえ。でも“火のない所に煙は立たない”とも言うし〜」とやり過ごしてしまうことがほとんどだ。しかし『男道』を読むと、清原の行動の裏には常に清原自身の「哲学」とも言えるような強い信念が宿っていたのだと気づかされる。

本書の内容については深く触れない。読んでのお楽しみである。しかし読んでいると「こういう生き方もあるんだなあ」と、不器用だがぶれのない清原がうらやましくもなる。「譲れない」ものを持つことは美しいが、しんどくもあろう。これからの清原の人生を見守りたい。また、清原の言葉を通じて、桑田のことも見直した。これもこの本がもたらしてくれた貴重な収穫だった。

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