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2005年12月19日

『ほんとうの社会力』辻 秀一(日経BP社)

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「ここ一番で力が出せない」という悩みをよく耳にする。職種や年齢には関係ないようだ。当然のごとく、学生たちもぼやいている。私も演奏家である自分の問題として、また指導者の立場からも「どうしたらステージであがることなく、普段の実力を発揮できるか」というポイントは見逃せない。

こんな時に参考になるのが、スポーツ界で行われているさまざまな取り組みだ。スポーツ医学の一環として、心理的な側面に関する研究も幅広く展開されている。

スポーツでは「こうやったら→こうなった」という事象を客観的な数値として把握できる。行動の結果がレースのタイムや試合での得点として、即座に反映されるからだ。しかし音楽で「今日の演奏が3日前のものより確実に改善されているか」を客観的に提示することは、不可能だ。しかし「一回しかないステージでベストをつくす」あるいは「チームワークを通じてより高度なパフォーマンスを目指す」など、やるべき行為はスポーツとまったく変わりない。

辻はバスケットと井上雄彦の作品(『スラムダンク』他)を愛してやまないスポーツドクターだ。私が辻から大きな感銘を受けたのは、数年前ふとした機会に出会ったコーチングセミナーでのことである。人を圧倒する大きな声で展開される内容は、スポーツ関係者のみならず、まさに演奏家や音楽教師が探し求めていたものだった。

その後定期的に辻のセミナーに参加するようになり、多くの著書も読破した。中でも特定のジャンルに片寄らず、主婦やサラリーマンもが参考にできる考え方やノウハウが辻メソードとして明快にまとめられているのがこの本だ。他にも数多くの著作があるが(紀伊國屋書店のトップページ上部の検索欄に「和書」「辻秀一」と入れるだけで20件ヒットする)、私のイチオシとして推薦したい。

辻の活動の詳細に関しては辻が主宰する団体、エミネクロスのウェブサイトを参照されたい。http://www.eminecross.com/

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