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2007年10月16日

『高校生のためのメディア・リテラシー』林直哉(筑摩書房)

高校生のためのメディア・リテラシー →bookwebで購入

「「メディア使い」のススメ」

林直哉『高校生のためのメディア・リテラシー』(ちくまプリマー新書)は、コンパクトにまとまっていて読みやすく、そのうえ個性鮮やか。つまり、好著である。

著者は長野県内の高校の先生だ。いくつかの高校で放送部の顧問をつとめてきた。かれの指導の下で制作された作品群は、「東京ビデオフェスティバル」をはじめ、いくつもの賞をとるなどして、高く評価されている。

本書で著者が唱えるメディア・リテラシー論は、具体的で力強い。説得力をもつ理由の一端は、その言葉のひとつひとつが著者自身による実践に裏打ちされているからだ。メディア・リテラシーを身につけることを、著者は「メディア使いになる」と言い表す。「メディア使い」になる過程で、四つの関係性に、あらためて気づいていくことになるという。「自分と社会との関係性」「メディアとの関係性」「自分の中の他者との関係性」「循環する関係性」である。このあたり、かつて著者がリーダーのひとりをつとめていた東京大学大学院情報学環メルプロジェクト(Media Expression Learning and Literacy Project)──ぼくも参加していた──での経験が、あらためて高校教育という現場にフィードバックされ、熟成されていることがうかがえる。

高校生たちがどのような経験をとおして、いかにして「メディア使い」になっていくのか。読みすすむ読者は、その成長の過程を追いながら、それをじぶん自身に重ねあわせて考えはじめていることに気づくだろう。

表題に「高校生のための」とある。むろん字義どおりにうけとってはならない。実年齢にかかわらず、初めてカメラやパソコンに接したときに誰しも感じるような新鮮な驚きと飛翔感をいだきつづける、すべてのひとに向けられた書物と理解すべきである。

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