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2009年04月22日

『エリック・クラプトン自伝』
 エリック・クラプトン(著)中江昌彦(訳)(イースト・プレス)

エリック・クラプトン自伝 →bookwebで購入

「私はどこにいても違和感を感じて」
(BGM: Truth Be Told & Serendipity (Tal Wilkenfeld))

夢の中で花言葉を教えてくれた人は
何の違和感もなく
私の横でこうして普通にしていてくれる

だから、夢から覚めた世界では
本当はもういいんですが
朝から晩まで
私はどこにいても違和感を感じて
正直には言えませんし
目を閉じると皮膚の表面がボ〜っとザワザワする感じで

いつも思います
何でここにいるのだろうと
何でこのソサエティの中にいるのだろうと
100人か200人か300人かの前に立って
あたかもこれが天職のように話しながらも
幽体離脱しなが自分を客観的に観るように

もういいから、勘弁してくれと思う間もなく
それでもどうしても違和感がない場所はなく
私は仕方がなくそうしているだけで
だから、本当はほとんど何もいりません

スキンヘッドは
大学にいれば教員で
ライブハウスにいればオルタネティブで
お寺にいれば霊能者で
客引きの路上にいれば危ないおじさんで
スタジアムにいればサッカーファンで
ランニングマシンにいれば、この人何をやっている人なんだろう
だから、どこにいても、どこにいなくてもいい

だから、教員でオルタネティブで霊能者で危ないおじさんでエセサッカーファンで、この人何をやっている人なんだろう程度で良いので、教員だけ、オルタネティブだけ、エセ霊能者だけ、危ないおじさんだけ、は辞めてほしい

見慣れた風景が、ある時違う風景に観えるのとはまた違い
多分、走り込みが足りないのかもしれず
一度に余計なことを考え過ぎることが良くないのだと思い
一度に余計なことを考え過ぎることは良くないことなのに
四半世紀前にそれを修正したはずなのに
またぶり返している

私にとって
先が見えてくる人生なんて、ありえなかった訳で
後10年もすれば、こういう生活ともおさらばで引退だなんて
わたしはこの50年以上もの間、何をやってきたのでしょうか
そうなると
もっと真実を言った方が良いのかな、とか
年甲斐もなく迷ってしまう
あまりにも言わなさ過ぎは、長期的には人に迷惑をかけることになる

この朝もやは、全く私には関係なく
「全てを語れる時を、私は待っている」
ただ、クラプトンと同じ溺れた運命とこの違和感だけは避けたい


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2009年04月01日

『リリィ、はちみつ色の夏』
 Sue Monk Kidd(著)小川高義(訳)(世界文化社)

リリィ、はちみつ色の夏 →bookwebで購入

「Lily Dakota Fanning
 こんな女の子が同じクラスにいたらどうしよう」
(BGM: If I Ain't Got You (Alicia Keys))

映画で、思わぬ所で涙が出てしまう経験があるだろう。
「戦場のメリークリスマス」で、たけしの顔がスクリーン一杯になり、トムコンティとデビットボウイに対して、笑顔で「ファーザークリスマス」と言うシーンでは、ボロボロと泣いてしまったが、実は当時の映画館では笑いが起こり、私はその不甲斐なさに情けなく思ったことを覚えている。あのハラ軍曹を創造したのはもちろん大島渚監督だが、カンヌだったかから帰国した際、受賞を逃して惜しかったですねという質問に「早すぎて時代に理解されなかった」というようなコメントを言ったことがいたく印象に残っている(とは昔も書いた)。(今村昌平監督の「楢山節考」も素晴しい作品ではあるが、評価の観点が違うので比較することは難しい(とも昔に書いた))実はたけしも坂本龍一も演技は素人そのままで、それでも大島渚というカメラを通すと、それが保険会社のCMのように、素人が演出する普通の日常生活のシーンが涙をさそう。

そこで「リリィ」だが、これはまた全く逆の観点から、プロが演出する普通の日常生活のシーンが涙をさそう。そもそも私は最近、大型スペクタクル、アクションスリル満点(も結局は好きだが)には食傷気味で、見る事は見るけれど、その見方が「ここまで引っ張るんだ」「じらしてそろそろカーアクション」みたいなハリウッドのテーゼ・アンチテーゼをどう周到し、どう逸脱するかのような見方をしてしまい、そういう意味ではストーリーにのめり込むことはほとんどない。

そこで「リリィ」だが、もともとDakota Fanningは天才「子役」と言われてきたが、私にとってはJodie Fosterと同じ匂いがして、下世話な言い方だが「私好み」の「女優」である。冒頭のシーンでは、また得意のサスペンス役かと思いきや、その後徐々に14歳という危険をはらんだエイジを存分に発揮する。

勿論、本作品は有名どころも渋いどころも豪華キャストで、助演女優賞レベルに全員が名前を連ねているということからして、その質の高さが伺える。特にお勧めはSophie Okonedoだが、それも説明し始めると切りがないからやめておこう。

そこで「リリィ」だが、久々に思わぬ所で涙が出てしまうシーンばかりで、笑顔と笑いに込められた人生の苦悩とでも言うのか、思わずストーリーにのめり込んでは、その次のシーンが思った通りになる快感に自己満足する。

「読んでから見るか、見てから読むか」とは角川映画「人間の証明」のコピーだが、まさに見てから読む気にさせた映画は久々で、それもベストセラーなので、今さらというお恥ずかしい話ではある。

自分の琴線に触れるのか、もっと深い所で人間としての本質に触れるのか、お涙ちょうだいシーンとは違うところで感動する快感は、映画の醍醐味でもある。

Dakota Fanningには間違って欲しくないという親心のような、いやいや、何かこんな女の子が同じクラスにいたらどうしよう、のような気持ちにさせる。

繊細な文学を読む時間
どんな編集をしたかは分からない
しなやかでしとやかでしたたかで
そんな出会いに感謝する

大切なのは
愛を贈ること
Lily Dakota Fanning

www.lily-hachimitsu.jp



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