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2005年11月29日

『東京タワーが建ったころ
 50年前の私たち』 岩永辰尾 (第三出版)

東京タワーが建ったころ<br>50年前の私たち →bookwebで購入 夕日町のひみつBGV


「全てが崩壊した後に
 ・・・
 許してくれよな
 ALWAYS」

街中から8マイルも離れていないというのに、このままでは本当にボロボロで 死にそうだったりする。
世の中の全ての人が■に■て、でも時折、全ての人が優しく思えて、どちらも 辛い思いの繰り返し。いっそのこと、■を聴きながら、左折を間違えた車に■ たら楽な気がする。それくらいのことを書いてくれる作家を捜す。

このところ、朝も夜もベースを効かせた渋いロックを聴く。多少うつむき加減 で、多分しかめっ面した渋い顔をして歩いてるんだろうな、とか思ったりす る。こういう曲を聴く時は、ノロノロヒマそうに前を歩かないでくれよ。増々 ■なる。

死にそうだったりするが、実は…
ここで一旦休止、そして改めて…
が、実は、豊かで嫋やか(たをやか)に年をとりたい、と思っている。
豊かと言っても、むしろ金銭的に豊かの方がそこら辺で出来そうで、でもあえ て難しいだろう精神的に豊かな老後の方を望む。でも今のままでは出来そうも ない。いっそのこと■てくれ。でも、心配するなよ、死ぬはずないだろ。死ぬ 気になればもっとやれるから、だから何にもやらないだけさ。

普通の幸せ、でも個人には特別な幸せ
普通の写真、でも個人には特別な写真

・・・
うちの親父は日曜日になるとよく一人で神宮の六大学野球を見に行った。
朝、母親におにぎりを作ってもらい、我々子供達は、何かと面倒な時代で、そ れも長くて、親父はいつも一人で出かけていった。

うちの親父に大学生活はなかった。戦争の真っただ中で。一度だけ聞いた話 で、親父が指揮をとる部隊が襲撃にあって、仲間が、仲間のほとんどが死ん だ。親父に当たった弾丸は肩から胸を抜けて一命を取りとめた。
親父は倒れるまで、終戦記念日には靖国神社に行っていた。今、問題になる参 拝問題以前の話、いやその以前ではなく、それ以前の次元の問題。仲間が死ん だんだぜ、■が、目の前で、隣りで、■って、■て。どうしてなんだよ、何故 なんだよ、俺達、何で死ななきゃならないんだよ。
今でも覚えている。私が留学したいと言った時「私はもっと若い時に中国に行 ってる」と笑って答えた。

神宮球場で何を思ったのだろう。満員にはなりきっていない、応援団の声が響 くスタンド。応援団のうしろ、少し離れて、少し上の方か、または、まばらな 外野か。
そのおにぎりに、ビールも買ったんだろうな。
神宮の空、野球、応援・・・何を思ったのだろう。
死なない、そう、死なない。
だろう?死なないじゃないか。

そういう学生生活のない親父。
空を見上げて、ビールを飲みながら、これでいいんだ、皆、夢中で、幸せでい いんだ、って。

夕方、山倉のホームラン凄かったよ、と帰る親父は、その後、家の周りを掃除 して、暑い夏の日には水を張って。そして朝夕は家の前で、木刀を振ってい た。剣道の素振りのように、家の前の路地で木刀を振っていた。鉄棒をおいた 小さな、猫のひたい程の庭でもランニングシャツで振っていた。汗をふきなが ら、片手でも振っていた。日曜の夕方は、早めに風呂に入って、時折、一人で 銭湯にも行っていた。
そして、笑点か大相撲の音とともにビールを飲んでいた。
仕事場へはスクーター、その後、スバル360。
何でこんな小っちゃな車に乗るんだ?
でも何かこだわりがあったのだろう。

でも、でも・・・
結構、私は、幸せだったんだよ。
普通の幸せ、でも個人には特別な幸せ、だったんだよ。

許してくれよな。
一度で良いから、一緒におにぎりを持って、神宮のスタンドに行きたかったんだよ。

ALWAYS
何れにせよ、私の生活が今のままであることに変りはないし。
私は何か毎日、後ろめたい感じがしている。

・・・
一杯飲み屋のヒロミは竜之介から指輪をプレゼントされる。
静かなそのシーン、そして夕日にかざす。
何か忘れていたもの。忘れてきたもの。
(www.always3.jpから映画予告編へ)

時折、無償に普通の生活に戻りたいと思う。
この異常なまでにボロボロの毎日。
今夜はロックはやめて、静かなアコースティックにするよ。
なあ、いいだろう?

put your head on my shoulder
we'll be walking in the rain
two solitary people, trying so hard to understand
crazy world we live in, gets more crazy every day
oh, little darling, something about the way
I'll always be thinking about you
(from "in the land of dreams" by Stanley Smith)


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2005年11月15日

『アンボス・ムンドス』桐野夏生 (文藝春秋)

アンボス・ムンドス →bookwebで購入 BGM(Nickelback)

「女性の「凄み」
 見てはいけないもの
 見せてはいけないもの」

「俺が待ってくれと言ったら、あなたは「私にはいつも今しかない」と言って拒んだ」
ドキッとする。
閉店間際のHMV、金曜の夜は心なしか人が少ない。新譜を試聴して歩き、今日 はM.I.A.とNICKELBACKを購入した。

・・・
秋になると、早速、来年の手帳とカレンダーが売り出されて、そうこうしてい る内に年賀状が売り出されて、既に鬼は大笑いしている。
我々の業界では今、2007年度の予算要求の議論の真っ最中で…来年ではなく て、再来年の。なので2年後2007年以降の運命は来年2006年暮の国会まで、時 にはその年明けの復活折衝まで、ず〜と長い道のりを不条理にもめげずブラッ シュアップして行く訳です。突然横やりが入って、それまでの努力が全部水の 泡とか、横やりじゃなくても、人事異動があれば、またイチからのやり直しだ ったりしても、そんなのは当たり前だったりする訳です。
何もガツガツして仕事したい訳ではありませんし、研究や教育が本業ですし、 時に海外の友人の予算要求を手伝ったりもしますが、このような感覚、このよ うな業界の鬼笑いルーチンに入れるかが、野球で言えばメジャーとマイナーの 意識の違いみたいな感じなのかもしれません。

このように我々の業界では2〜3年かけて、その先の5年間程度の研究費を申 請して、通れば5年間は暮らせる。通らなければ普通ないしはそれ以下という 現実、そんな綱渡りの生活をしています。
- That's very theatrical, Joe...
- Yeah, I know...

通っても通らなくてもまた先の、さらにそのまた先の5年間を考える。博士号 を取ってプロデビューを30歳とすると、そんなプロジェクトを5〜6回繰り返 すと定年になる、という感覚。イチローだって、1本のヒットに最低2〜3年 はかけてきていると思うし、特に我々の業界では、鬼が笑うどころか、狐につ ままれた捕らぬ狸のような生活な訳です。

2007年から先4〜5年間の将来計画を考える(これを中期計画と呼びますが) ということは自分自身の2〜3年後からさらにプラス5年間分位の人生設計を 考えることになります。これは正直とてつもないストレスです。例えば、思わ ぬところで2〜3年後の自分に対してドラスティックな方向転換をせまられた り、交換条件のような話も出たりする訳で、上層部が変れば話も変わり、総合 科学技術会議の意向はどうなのか、経団連の方針はどうか、担当大臣が何を言 うか、それよりも何よりも誰と誰に何と何の話をしたら良いか、いつ霞ヶ関に 言ったらいいのか、この話はたまたま廊下ですれ違った時の立ち話にしよう、 等と電車の中で私がそんなことを考えているとは車内の誰も全く知らない訳で す。タモリさんの番組のアンケートでそんなことを考えていると私1人だけボ タンを押す感覚です。
でもここに来て、これから50を過ぎても「賭け」に走ってもいいかなと思う自 分がいて、人生投げやりに見えるかもしれませんが、ここまで来ると後10〜 20年で何が出来るかという時間との勝負を考えると「安定を望まない」今まで の全てを捨てても「賭け」に出る自分がいたりします。

入学した時、博士号を取得した時、仕事を始めた時、そして結婚した時とか、 スタートの時点は誰もが横一線、皆一緒に新郎新婦のご入場な訳で、ご祝辞は 皆同じで将来有望な訳です。ところが人生面白いことに、その一瞬先なんて誰 も分からない。どんな展開があるのか、上手く行くのか失敗するのか、会社や 企画がつぶれることもあるだろうし、突然の事故もあるだろうし、体型も変る だろうし、髪も薄くなるだろうし、どんな運命が待っているのか、それに対し て何を用意したら良いのか分からない。
何をもってハッピーとするか、何をもって成功とするかは、その人その人によ って違いますけど、仕事を始めて、結婚生活を始めて、どう成功するか、どう ハッピーになるかは、いつも今の時点では誰にも分からない訳です。ただ「引 きのコツ」っていうか「プロ意識」というか、そんな毎日のちょっとした違い が何年か経って大きな差になることは確かで、スタートの時点で同じでも「う だつ」の上げ下げにかかる運命の力学と、時間とともに絞り込まれて行く世の 中の力学と、を自分の方に引き寄せる、そこが努力と根性と気合い、そして周 りの人にも活力を与える優しさ、かもしれません。

そういう意味では、日常生活の方がもっとドラマチックな訳で、何があるか分 からないし、自分で変えられる部分とどうしようもならない部分とがあって、 でも後者の方が多かったりして。実際、成田空港から電話をして、頭のてっぺ んから血の気が足先の方にサ〜っと堕ちて行く感覚も味わいましたし、ある一 言で体が震えることも味わいました。要は何かというと、明日、または次の瞬 間、自分がどんな状況にあるかは、自分自身でどうにもならない運命でも、で も結局は自分次第ということな訳です。

もっと過激で刺激的な映画とかドラマとかはあるはずです。
ところが本となると、何か自分個人と作家の1対1、日常の風景の中で自分だ けが覗き見していて、自分の頭の中だけが妄想の世界に浸っていて、周囲の風 景と街行く人は日常そのまま、という、ある意味特殊な条件設定、ある意味快 感になっている訳です。
最近は映画とかドラマもDVDとかビデオとかで、ある意味1対1的なところが ありますが、本来の映画館しかり、で、映像を見せることで、既に日常と違う 環境設定が整っているので、ある意味、用意された妄想の世界に安心して没頭 できる訳です。
ところが本は、始めからの前提、与えられた風景がないので、自分の今までの 経験と照らし合わせて映像や妄想を自ら作ると言う、刺激的という意味では、 本の方が上を行くような気がします。

この本は、何て言うか、まずいものを見ちゃったかな、という後ろめたい感じ がして、電車の周囲の乗客や家の中で前を横切る家族達に、私の頭の中の妄想 を見抜かれていないだろうな、とか変な心配をしてしまったりしながら、嫌 (いや)〜な微妙な感じを引きずったまま「ごはん出来たけど」とか言われて 我に帰るのに数秒かかったりします。

作家はスゴイですよね。最後の最後に登場人物を**させてしまう。
考えてみたら、こんなエグイ妄想空間は他にありません。
いとも簡単に無表情に人を**する、作家のサディスティックな感覚、いや、 それ以上の文章力、それも幻覚幻聴をひき起こすような。
登場人物と一緒に取り返しのつかない事をしてしまったという過激な妄想空間 と心理的擬似体験は快感です。

ある時まで、桐野夏生さんを男性だと思っていました。よくぞここまで女性の 「凄み」を表現出来るな、と思っていて、ある時から、女性だと分かり、それ からは、よくぞここまで女性の「凄み」を見せられるな、と思っていて。

それまで長編というイメージがあって、江戸川乱歩賞、推理作家賞、直木賞、 泉鏡花賞、柴田錬三郎賞、婦人公論賞、そしてエドガー賞候補という、その遍 歴。
今回の短篇集への「凄みの凝縮」は、今回の作品群に至る桐野夏生さん御自身 に何があったのか、その遍歴を知りたくなる。
Fashion Digger、私は馬鹿な服が好き、という一面も、未だ作品に「全てを出 し切っていない」感じがあって増々期待させる。
http://www.kirino-natsuo.com/

見てはいけないもの
見せてはいけないもの
熱海のルイ子の家に直行する咲子
池辺からの手紙を暗記している浜崎

・・・
「あなたは変ったんじゃなくて、もともと自由な人だったのかもしれないわ ね。それなのに、私ったら違う人だとずっと思ってたみたい」
またドキッとする。
iPodのNINを聴きながら、一人だけ街行く人の流れと反対方向に向かって歩い ている感じがした。今夜は樽臭いアルコールを飲みながら一人無骨なロックを 聴きたい。


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2005年11月04日

『上原ひろみ
サマーレインの彼方』神舘和典(文)白土恭子(写真)(幻冬舎)

上原ひろみ<br>サマーレインの彼方 →bookwebで購入 spiral.jpg「Spiral」上原ひろみ(TELARC)

「会いたい人
 努力と根性、そして気合い
 今にも涙があふれそうな笑顔」

「Spiral」には魔力が宿る。
何か久々に鳥肌が立つような、何以来と言っていいのだろう。 何以来と言うのとは少し違うかもしれない。何かその情念というか根性という か、もう100回以上は聴いたけど…だめだ、正直、何か憑依(ひょうい)され たような、か、逆に、憑依が解けるかのように、体全体から浄化されていく。

金曜の夜、今夜も少しアルコールが回って、頭を抱え込みながら、目をとじて 「Spiral」を聴く。ああ、そのフレーズ…そのスタートの優しさだけで、充分 クールでセクシーで、それだけで人柄が伝わってきて、それだけで鍵盤の上の 指先のぬくもりが伝わってきて、それだけでそこに込められた想いがそのまま 感じられて。

メインフレーズの後、ベースで引っ張るだけ引っ張って、登りつめておいてピ アノに堕ちる。思わず「オ〜」と声をあげて、ライブと勘違いして人目をはば からず立ち上がって拍手をする。でも、ここには誰もいない。誰も分からな い。天井斜め上、神様のいる方向を見上げて、素晴しいです、本当に素晴し い、素敵です。

でも、こう、私の気持ちを赤裸々に出させないで欲しいよ。正直つらいよ。
すると、あの人の、あの笑顔が見えてきて、優しすぎて、平気だよ、と言って くれて、思わずありがとう、です。上原ひろみとはそういう人、ありがとう、 です。
ソファにすわったまま、ヘッドフォンをしたまま、「Spiral」を聴いたまま、 目をとじて寝てしまう。
今日が終わる。ただそれだけで、ありがとう、です。

そんなに人に幸せを与えておいて、あなたはつらくないんですか?
そのエネルギーはどこから来るんですか?
そして、その笑顔は、どこから来て、どこに行くんですか?
何か、その目は、宇宙の彼方にまで飛んで行ってしまいそうで、そして皆をつ れて行ってくれそうで。だから、これから沢山沢山、作品を出して下さい。私 には生まれ変わらなければ出来ないし、生まれ変わらなければいけないし、と うてい出来ないし、嫉妬を乗り越えた期待。

これは21世紀版 Return to Forever、例えば Romantic Warrior(浪漫の騎 士)No Mysteryです。
その大学時代の2部のジャズ研のような、ジャンルにこだわらない胎動、音楽 の凄さ、音の凄さ、です。
人に出来ないこと、私に出来ないこと、やって下さい。

・・・
もう完璧に活字中毒です
もう完璧に音楽中毒です
もう完璧に映像中毒です
というか、五感中毒というか、第六感中毒というか、とにかくその都度新しい 感覚を取り入れなければ、気がおかしくなりそうで恐い。新しいもののチェッ ク、新しいハイパーなもののチェック、そんな習慣がついたのは、いつの頃か 良く覚えているけど、それだけは言えない。とにかく崩れそうな、そのままし ゃがみこんで頭を抱え込むようにうずくまるような、そんな感覚から逃れられ ない日には、depressさせるような寂しい人とは会いたくもない。
音楽を聴いて、映像を観て、原稿を書く。そして捨てる。また聴いて、観て、 書いて捨てる。また書いて捨てる、学生時代からいつもその繰り返し。

私には、その時によっていつも「会いたい人」っていうのがいる。距離感はま ちまちだけど、デビュー当時の吉田美和だったり、ターミネーターのサラコナ ー、リンダハミルトンだったり、女性に限らないが、共通することは、エネル ギーのある強い優しさを持つ人に会ってみたい、ということ。そして、今にも 涙があふれそうな笑顔、かな。そして、今はとにかく、上原ひろみ、これ以上 のエネルギー源を見つけるのが難しい。本当に強い人は笑顔だけで皆にエネル ギーを与えてくれる。bossyなブラックホールじゃなくて、無限のエネルギー を出し続けるホワイトホール。

1曲目、スタートから、優しい、本当に優しい。優しいって、本当の優しさっ て、本当は強い人じゃないと出せない。辛かった、耐えた、というよりも、そ れを笑顔で感動にしてしまう強さ。

どちらも発売日、その日の夜に買った。
「息切れしても走り続けたい!」
「自分のライバルはまずは昨日の自分だから」
「気分転換なんかやっても、解決にはならない」
(えっ?そこまで言い切る…)
「試練から逃げない、努力と根性、そして気合」

フジロックで感極まる筆者。
その場に崩れ落ちる男の子。
友達同士で抱き合って泣きじゃくる女の子。

もしかして、私がアメリカからの帰りの飛行機で、隣りの席にチックコリアと ゲイリーモランがいた時に、浜松の高校生でチックと即興演奏してたんです ね。何か高校でも本能のままで、今のままで。14歳でオスカーピーターソンに テープを送るあたりも、曲の途中に聴こえる掛け声も、唸り声も、そのまま で。

Spiral
曲を聴いてから、そして聴きながら、読む。
「Spiral」を作り上げていく過程、目と耳とでそのまま実感できる。矢野顕子 さんとのセッションもそのままでスリリングで凄いです。

「神様が私の根性と気合を試している」そしてまだまだファイトは続く。
バークリーで自分をアピールする気持ち、バーストしたような髪型…、簡単に は言わないけど、私も同じ経験があるから「分かる」。

Love and Laughter
「あなたが言うジャズって何なの?」とつめよる。でもハグで終わるんですよ ね。そこが違う。70を過ぎたアーマッドじゃないけど、1時間一緒にいると 55分は笑っていて、ストイックで、上手く行くコツって、「引き」って、そん なところにある。最近よく分かる。

思いやり
自分の演奏のことばかり考えるのではなく、相手の音をきちんと聴いてあげら れる。するとなぜか音も良くなって行く。これは日常のどんな場面でも言える ことで、自分の考えしかない人は寂しい。

カニを売るコツ
お客さん、実はこのカニ、こっちのカニと兄弟なんですよ。この兄弟が離れ離 れになるかは、お客さん次第…(そして、笑顔)。
これも、緻密でエモーショナル…

・・・
私は夜中に身の回りの物を無意識の内に妙な所に片付けるくせがある。
朝起きると、冷蔵庫の中にTVのリモコンがあったり、家族からも不思議がられる。
気がつくと「Spiral」が見当たらない。そのCDジャケットには「Return to Forever」が入っていて、入れたはずの車のCDカセットには1トレイが空にな っている。
ということは、ディスクだけどこかに片付けたんだ。
あれっ?どこだ、どこだ…
また神隠しのような朝、何でこうなるの?
で、見つけたところは神棚でした。えっ?ここに片付けたのは初めてだ。で も、ひろみさん、あなたはそんな人です。

実は覚えています。Bostonのコプリー、バークリーに向かう地下鉄red lineの 中で、あなたを見かけました。体よりも大きい「nord」と書かれた「赤いケー ス」を背負ったアジア系の女の子。

皆に勇気と優しさと、そしてその向日葵(ひまわり)の大輪のような笑顔を惜 しげもなく与えてくれる、あなたに今夜もどれだけの人が救われていること か、そんなこともいざ知らず、今日も「赤いケース」ノードリードを背負って 世界中を飛び回っているんですね。
今度、おいしいラーメン屋さん、教えてあげます。

年明けには、皆また、ニューヨークのBlue Noteで待ってるよ。



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