ごあいさつ

私たち阪大生は、書評空間で書評ブログを書く書くことにしました。

本との出会いは一生のうちに何度もあります。
その出会いの中には、どうしても忘れられないものがきっと誰にでもあることでしょう。
私たちはそれに着目し、ライフステージごとに設定した5つのテーマについて大阪大学の学生や教職員から、本との出会いや思い出について紹介してもらいました。
誰かのアルバムの1ページをそっとめくるような、そんな気持ちでご覧ください。
大阪ならではの個性が光る「オモロイ」書評集が出来上がりました。

また、各テーマを順に見ていくと、ひとつの人生が浮かび上がってくる、という仕掛けにもなっています。
あなたの人生や、誰かの人生に思いを馳せながら、そのような視点からもお楽しみください。
本を紹介した誰かの人生だけでなく、あなたの人生にも彩りを加えてくれる、そんな1冊との出会いが、このページから生まれれば何より嬉しく思います。

大阪大学 「ショセキカ」プロジェクト一同

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2013年10月01日

脳のなかの幽霊/ラマチャンドラン

脳のなかの幽霊
ラマチャンドラン

⇒紀伊國屋書店ウェブストア
6/5/2013 20:41:59
基礎工学部システム科学科
4年生・男性

お書きいただけるのは以下のどちらの本についてでしょうか。該当する方をチェックしてください。

いま学んでいることにまつわる本

その本の名前と著者をお答えください。

脳のなかの幽霊/ラマチャンドラン

その本はいつ読みましたか?

大学4年の春

どんな内容の本ですか?簡単なあらすじや、設定等をお書きください。

脳の血管障害(脳梗塞など)が原因で脳の損傷をもっている方など、さまざまな症状の見地から、脳の機能を解説した本です。著者のラマチャンドラン氏はアメリカの神経医、神経科学者です。ここで、印象的だった内容をひとつだけ引きます。脳の視覚野に損傷を受け、いわゆる盲人になってしまった方がいました。彼の目の前に怒った表情の写真を提示します。彼はそれが何であるのか、全く答えられないのに、「いま怖い感じがしますか?それとも楽しい感じがしますか?」と尋ねると、前者と答えることが出来るのです。彼は写真が何であるか、顔であるということさえも、言い当てることはできないのに、です。これには科学的な説明が既にあります。すなわち、人の視覚の処理の経路には2つの経路があり、ひとつはヒトの発生のはるか昔からあった経路と、ヒトが誕生すると同時に獲得した経路と、です。昔から持っていた経路では天敵がいたら逃げたり、異性を見つけたりするのに使われていた経路であり、いわゆる認識(ここでは物が何かを言い当てること)とは関係はないのです。

いま、あなたはどのようなことを学んでいますか?その学問に対する熱意などもあわせてお書きください。

脳の神経の回路を学んでいます。具体的には視覚系の研究をしています。たくさんの細胞のひとつひとつの活動を計測し、それを通じて全体のネットワークを理解しようとしています。現在はまだまだ分からないことばかりですが、脳というのは本当に不思議だということは、これまでの勉強によっても、先に揚げた本を読んでも、わかりました。脳は単位体積当たりの「わかっていないこと」はこの世の中でもっとも多いと、僕は考えています。それだけに勉強のし甲斐もあります。そして今僕の周りには、研究のためのツールもたくさん揃っています。たくさんの演算能力をもつコンピュータや、特定の細胞を染めることのできる色素、そして何より、素晴らしい先生方です。

その本とあなたの学問領域にどのようなつながりがありますか?

本では脳の「全体としての機能」についてのお話がたくさん述べられています。脳のダイナミックさ、不思議さを痛感できます。僕の研究は「ひとつの細胞」からのアプローチです。木か森かといえば、木、です。1本1本の木からその全貌を解明しようとすれば、迷子になったり途方にくれたりということが多々あります。この本は、そんな僕に俯瞰図を与えてくれ、勉強に対するモチベーションを与えてくれます。

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