ごあいさつ

私たち阪大生は、書評空間で書評ブログを書く書くことにしました。

本との出会いは一生のうちに何度もあります。
その出会いの中には、どうしても忘れられないものがきっと誰にでもあることでしょう。
私たちはそれに着目し、ライフステージごとに設定した5つのテーマについて大阪大学の学生や教職員から、本との出会いや思い出について紹介してもらいました。
誰かのアルバムの1ページをそっとめくるような、そんな気持ちでご覧ください。
大阪ならではの個性が光る「オモロイ」書評集が出来上がりました。

また、各テーマを順に見ていくと、ひとつの人生が浮かび上がってくる、という仕掛けにもなっています。
あなたの人生や、誰かの人生に思いを馳せながら、そのような視点からもお楽しみください。
本を紹介した誰かの人生だけでなく、あなたの人生にも彩りを加えてくれる、そんな1冊との出会いが、このページから生まれれば何より嬉しく思います。

大阪大学 「ショセキカ」プロジェクト一同

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2013年10月01日

裏庭/梨木香歩

裏庭
梨木香歩

⇒紀伊國屋書店ウェブストア
6/23/2013 22:00:53
外国語学部外国語学科フィリピン語専攻
2年生・女性

あなたが過去に読書感想文を書いた本で、印象に残っているものは何ですか?書名と著者をご記入ください。

裏庭/梨木香歩

その読書感想文はいつごろ書きましたか?

中学三年生の夏休み

どんな内容の本ですか?簡単なあらすじや、設定等をお書きください。

夏休み。近所の荒れ果てた洋館に、その場所に幼い頃の苦い思い出を持つ少女、照美がふとしたきっかけで迷い込む。
館内の大鏡が彼女に「フーアーユー?」と問いかけ、「テルミ」と返すと、洋館の”裏庭”の扉が開いた。そこはまるで『不思議の国のアリス』のワンダーランドのような異世界。壊れそうな”裏庭”を守るため、照美は冒険の旅に出る。

なぜその本を、読書感想文に使ったのですか?

読書感想文の題材になる本を選ぶのは難しかったので推薦図書リストを参考にしようと見てみたら、梨木香歩の『西の魔女が死んだ』を見つけました。
その作品は読んだことがあったのですが、そのまま使うのはつまらないと思い、本屋に行って他の著作を探し、表紙が好きだったので選びました。

読書感想文を書いてみていかがでしたか?難易度や、書く前後のエピソード、その本についての考えの変化、これから読書感想文を書く小中高生へのアドバイスなどもお書きください。

一見すると子ども向けのファンタジーですが、難しかったです。人間が誰しも持っているダークサイドの暗喩が至る所に散りばめられていて、中学生ながらそれが少しは分かったので、「本当の自分とは何なのか」について解説めいた感想文を書こうとして、何度も文章を読み直したり、Amazonの書評を検索したりしました。結果、あらゆる要素を盛り込みすぎた、要点の定まらない10枚以上に及ぶ原稿用紙が仕上がりましたが、当時の自分は達成感に満ち溢れていました。。先生には申し訳なかったです。
読書感想文にインターネットを使うのはあまりよろしくなかったのかもしれませんが、本を1回読んで自己完結するだけでなく、著者が伝えたいメッセージを考え、他の人の意見も参考にして、また自分で考え文章に起こすという作業をできたのは、その後の本を読む姿勢に変化を与えたと思います。
この本の、「雨の日は人と心が近づきやすい日だ。気をつけねばならない」(手元に本がないので不正確です)という一文は、今でも雨の日にそっと浮かび上がってくる時があります。それはあの読書感想文の影響でしょう。
本の中には、今の自分、または未来の自分にぴったりくる言葉が隠れているものです。感想を上手く書けなくても、気になった文章を何回も読んで、それを引用してみるだけでも、言葉に今までよりじっくり向き合うことになります。小中高生のうちに、是非そういう体験をしてほしいです。

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