ごあいさつ

私たち阪大生は、書評空間で書評ブログを書く書くことにしました。

本との出会いは一生のうちに何度もあります。
その出会いの中には、どうしても忘れられないものがきっと誰にでもあることでしょう。
私たちはそれに着目し、ライフステージごとに設定した5つのテーマについて大阪大学の学生や教職員から、本との出会いや思い出について紹介してもらいました。
誰かのアルバムの1ページをそっとめくるような、そんな気持ちでご覧ください。
大阪ならではの個性が光る「オモロイ」書評集が出来上がりました。

また、各テーマを順に見ていくと、ひとつの人生が浮かび上がってくる、という仕掛けにもなっています。
あなたの人生や、誰かの人生に思いを馳せながら、そのような視点からもお楽しみください。
本を紹介した誰かの人生だけでなく、あなたの人生にも彩りを加えてくれる、そんな1冊との出会いが、このページから生まれれば何より嬉しく思います。

大阪大学 「ショセキカ」プロジェクト一同

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2013年10月01日

ほんまにオレはアホやろか/水木しげる

ほんまにオレはアホやろか
水木しげる

⇒紀伊國屋書店ウェブストア
5/30/2013 21:46:48
文学部人文学科
1年生・女性

あなたが過去に読書感想文を書いた本で、印象に残っているものは何ですか?書名と著者をご記入ください。

ほんまにオレはアホやろか/水木しげる

その読書感想文はいつごろ書きましたか?

高校一年の夏休み

どんな内容の本ですか?簡単なあらすじや、設定等をお書きください。

ゲゲゲの鬼太郎で有名な漫画家・水木しげるの自伝。小学校では勉強をせず、虫取りや妖怪の話、スケッチといった趣味ばかり、卒業後は落第続き。仕事をしても生来のんきで極端にマイペースな性格だから長続きしない。第二次世界大戦が始まり徴兵され、ラバウルに派遣される。腕を失い、小隊が全滅に近いことになりながら、現地人と仲良くなり、再会の約束をする。帰国後は紙芝居や貸本を書くが出版社の倒産も相次ぎ貧乏生活。

なぜその本を、読書感想文に使ったのですか?

中学校の図書室が廃棄本を生徒に提供していたのでもらった。読書感想文の題材が8月30日くらいまで決まっていなかったのでとにかく家にあったこの本を使うことにした。確かちょうどNHKのドラマで話題になっていた年だったと思う。もともと作者の妖怪の絵が好きだったので、ブームに乗っていると思われるのは嫌だと思いながらも時間がないので書いた。

読書感想文を書いてみていかがでしたか?難易度や、書く前後のエピソード、その本についての考えの変化、これから読書感想文を書く小中高生へのアドバイスなどもお書きください。

大変難しかった。作者は何度も死ぬ目に遭い、苦労も重ねながら、この自伝には悲壮感がない。どちらかというとのんき。印象に残ったのはラバウルの現地人との交流だったのでそれを中心に書こうとしたが、学校にケンカを売っているような文章になりそうになった。「食べる分だけつくり、寝たい時に寝、歌って踊る原始的な暮らしには、競争社会の現代にないものがある。こんな楽園を見るとお金を稼いでも勉強ができても本当に幸せにはなれないと思える。」下手をすれば学校を否定する方向に行きそうな文章。「しかし作者も日本では生活のためにお金を必死で稼いだ。幸せとは何なのか」とつけてなんとか逃げた。逃げられたと思う。初めに読んだときは戦中戦後を生きた作者の壮絶な半生にただただ圧倒され、それをユーモラスに描くことに感動し、こんな幸せな世界になればいいと思った。しかし読書感想文を書こうと格闘する中で、自分は電子機器や学校、公共交通機関その他便利なものに囲まれた今の生活を捨てられるか、お金は人を幸せにするか、など様々なことを考えた。答えは出ない。もし自分がこれからまた感想文を書くなら、答えのない問いについて考えた軌跡を素直に書きたい。

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