2012年04月16日

書物復権によせて

 成田共助[法政大学出版局]


 恒例の〈書物復権〉8出版社共同復刊もおかげ様で第16 回目を迎えます。小部数の専門書を、もう一度蘇らせるこの事業は、多くの読者に支えられ、継続した企画として評価を受けるようになってまいりました。

 近年の出版業界は売上高において漸減を続けており、20 年前の市場規模に戻ってしまったと言われています。活字メディアの環境変化、購読スタイルが多様化しつつも、復刊を求める読者の声は依然として強いものがございます。

 今年も皆様からのリクエストをいただき、復刊書目が決まりました。また昨年に続き「オン・デマンド出版」による復刊もいたします。以下、いくつかのリクエストの声をご紹介します。

・この本の存在を知らなかったことを残念に思っています。目の前にあったらすぐ読みます。
・図書館にあるとしても、再び出版してもらいたいです。何度も何度もページをめくったものです。
・以前、立ち読みしてそのまま買わなかったことを悔いています。(高かったので迷ってしまったことを後悔…)
・古典ですが、名著です。国家・政治が混乱している現在には、知的清涼剤になり得る本です。

 他、多数のメッセージと貴重なご意見をいただいておりますが、今の時代、「色褪せないもの」「流されないもの」が求められているように思います。

東日本大震災から1年…

 東北の再建・復興の歩みはまだまだ遠く、災害廃棄物(瓦礫)処理は、遅々として進んでいません。そして福島原発事故の影響が大きく立ちはだかっています。

 「原発事故は、不確実性の象徴とし、国際社会の混沌とした出来事(気候変動、グローバル化した金融市場・テロリズム等)は、近代社会が生んだ限界のないリスクであり、そのリスクの分配を計ることの大切さを指摘する。」~『危険社会-新しい近代への道-』ウルリヒ・ベック著(1998 年:小局刊)

 いつかは他の地域を襲うかもしれない大規模な災害や瓦礫処理問題にしても被災地を人ごとに見るのではなくいかに自分の問題として捉えるかが問われています。また、隠された利権構造や誰も責任を取らない無責任システムを見直すことに対して、無知・無関心では何も生み出されません。書物を通しての知力と人間力が必要とされています。

 また、電子書籍化の流れは不可避だと思われますが、電子書籍時代の図書館はどうあるべきか、配信事業者との契約交渉など、まだ課題は残ります。

 電子書籍が話題になる中で、紙の本の重要性・利便性(本の力・本の魅力)も改めて再確認され、それぞれが補完しあい、お互いに良さを生かした広がりに期待します。そして本好きな読者が改めて書店の魅力(店頭での書籍と偶然に出会う機会)を再認識してくださることを願っています。


2012年8社共同復刊XⅥ

[ごあいさつ]

 2012 年、第16 回8 社共同復刊、多数のリクエストをいただきありがとうございました。2 月29 日までの期間中に、FAX、紀伊國屋書店内公式サイト、特別協力の復刊ドットコムの特設サイトで、受けつけたリクエストは総数3,021 票、最多書籍には79 票のリクエストが寄せられました。
いただいたコメントからもそれぞれの書目に対しての皆さまの熱心な要望が伝わっており、各発行出版社はこの結果をたいせつに受け止めて、復刊書目の選定をいたしました。残念ながら今回見送られた書目に対しても各社なんらかの機会を得て、復刊を実現させたいとも考えておりますので、ご了承いただけるようお願いします。

 今回、各発行出版社の判断により復刊を決定した書目は、通常の復刊とは異なるオン・デマンド(個別の注文に対応して製作)の手法によるものも含めて55 点56 冊。通常の方法により復刊した書籍は5 月下旬より全国約200 の協力書店店頭にて展示されます。オン・デマンドによる復刊も同時期に受注を開始します。2012 年開催の東京国際ブックフェア(下記参照)会場内〈書物復権〉共同ブースでは、2012 年復刊書全点の展示を予定していますので、ご期待ください。

[ご案内]
1. 刊行はすべて、2012 年5 月下旬を予定しています。
2. 内容についてのお問い合わせは発行出版社までお願いします。
3. 今回の共同復刊とは別に、各発行出版社が独自に復刊する場合があります。発行出版社にお問い合わせください。

[オン・デマンドによる復刊書ご注文に際して]
1. オン・デマンド版での復刊書はご注文による製作となります。内容についてはオリジナル本と変わりませんが、装丁や外見が異なる場合があります。
2. オン・デマンド版での復刊書は製作に2 週間ほどを要することをご了承ください。
3. オン・デマンド版での復刊書は、ご注文品の返品はできません。


◉東京国際ブックフェアのご案内
 2012 年7 月5 日(木)~ 7 月8 日(日)まで、東京有明の東京ビッグサイトで開催される東京国際ブックフェアに〈書物復権〉参加8 出版社が共同出展します。各出版社の刊行書が勢揃い、皆さまの来場をお待ちしています。オン・デマンド版を含んだ2012 年の復刊書も全点展示いたします。ブックフェアの詳細については。http://www.bookfair.jp/ をご覧ください

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