2011年03月31日

書物復権によせて

書物復権によせて

 持谷寿夫[みすず書房]

■〈書物復権〉共同復刊 新しいかたちへ 

 〈書物復権〉共同復刊事業、15年目を迎えました。15年前と同様、書物を取り巻く状況の不透明さは変わりませんが、今までこの事業で復刊できた600点を超える品切れの書物が、本来必要とする読者に届けられ、少なからず役に立っているとすれば、それだけで復刊事業継続の意味は果たされているといって良いかもしれません。今年は、オン・デマンドによる復刊も選択肢のひとつに加えました。店頭で見て購入というわけにはいきませんが、この方法の採用により復刊できる書目の数を大きく増やすことができました。共同でできる新しい試み、協力してくださるすべての方々とともに、この後もさらに挑戦していきたいと考えています。

 電子書籍元年から2年目、紙の本と電子書籍を二者択一としてとらえる時期は終わりました。電子書籍も知の蓄積を世界に拡げ、残していくための有効な手段と考えれば、それぞれの出版社は電子書籍化にも大きな可能性を感じています。学術書も同様です。それぞれの特徴を生かした共存は、今まで叶えられなかった経験を書き手や読み手に与えてくれます。手段の多様化は、新しい創作のモチベーションにもなりえます。内容の評価と、質の保証や維持という問題は、たずさわるそれぞれの専門の方々の必要性とともに、機能としての出版社や書店や図書館の役割をますます重要なものにしていくはずです。必然として起こった新しい変化の時代、書き手も読み手も、知の世界に積極的に関わることが可能になりました。「出版とはどんな営みか」「読書とはどういう行為か」「本とは何か」「著作者の権利とは」など、かつてであれば一部でしか話されなかった本質的な議論が、皆で話し合われるとともに、出版界だけでない方々との意見交換も活発に行われるようになりました。こうした議論の活性化こそが、もしかしたら電子書籍という新しいメディア登場の最大の収穫だったのかもしれません。

 変わるものと変わらないもの、次代につながる古典としての書物の存在と力を信じ、変化の時代のなかでの新しいこころみと努力を継続していきたいと考えています。


2011年8社共同復刊XV

[ごあいさつ]

 2011年、第15回8社共同復刊、多数のリクエストをいただきありがとうございました。2月16日までのリクエスト期間中、ハガキ、公式サイト、特別協力の復刊ドットコムの特設サイトで、受けたリクエスト件数は3,380件、最多書籍には102票のリクエストが寄せられました。記されたコメントからも皆さまの熱心な要望が伝わっており、発行出版社はこの結果をたいせつに受け止め、今回見送られた書目に対しても何らかの機会を得て、復刊を実現させたいと考えております。

 この結果を受けて、各出版社の判断により復刊の決定した書目はご紹介の42点43冊。お知らせしているように、今回は通常のかたちでは難しい書籍の復刊を可能にしたオン・デマンド(個別の注文に対応して製作)の手法による復刊にも取り組んでいます。通常の復刊とは異なり、店頭での展示は有りませんが、ぜひ、こちらの書籍に対してのご注文もお願いする次第です。通常の方法にて復刊した書籍は5月下旬より全国約200の協力書店店頭にて展示されます。オン・デマンド版も同時期に受注を開始します。また、2011年開催の東京国際ブックフェア(下記参照)会場内〈書物復権〉共同ブースでは、2011年復刊書全点の展示を予定しています。

[ご案内]
1.刊行はすべて、2011年5月下旬を予定しています。
2. 内容についてのお問い合わせは発行出版社までお願いします。
3. 今回の共同復刊とは別に、各発行出版社が独自に復刊する場合があります。発行出版社にお問い合わせください。

[オン・デマンドによる復刊書ご注文に際して]
1. オン・デマンド版での復刊書はご注文による製作となります。内容についてはオリジナル本と変わりませんが、装丁や外見が異なる場合があります。
2. オン・デマンド版での復刊書は製作に2週間ほどを要することをご了承ください。
3. オン・デマンド版での復刊書は、ご注文品の返品はできません。

◉東京国際ブックフェアのご案内
 2011年7月7日(木)~7月10日(日)まで、東京有明の東京ビッグサイトで開催される東京国際ブックフェアに〈書物復権〉参加8出版社が共同出展します。各出版社の刊行書が勢揃い、皆さまの来場をお待ちしています。オン・デマンド版を含んだ2011年の復刊書も全点展示いたします。ブックフェアの詳細についてはhttp://www.bookfair.jp/をご覧ください。

◉「NetLibrary版」電子書籍について
 今回の復刊書のなかから、紀伊國屋書店が日本代理店を務める図書館契約型電子書籍配信サービス「NetLibrary」にコンテンツを提供している書目がございます。ご注目ください。

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