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紅野謙介(こうの・けんすけ)

紅野謙介
日本大学文理学部国文学科教授(日本近代文学・メディア論)。
1956年生れ。麻布中高で6年間教師をしてから、いまの仕事へ。
戦後文学や自然主義文学の研究を専門にしていたが、文学の内在的な価値を研究する風潮に背を向けて、文学そのものを成り立たせていることば、さらには活字・出版文化などの物質的な基盤をめぐる研究に重心を移す。主な著書に『書物の近代—メディアの文学史』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学 活字・懸賞・メディア』(新曜社)など。編著に『女子高生のための文章図鑑』『男子高生のための文章図鑑』(ともに筑摩書房)、共著に『日露戦争スタディーズ』(紀伊國屋書店)、『探偵小説と日本近代』(青弓社) などがある。

『巨大バッタの奇蹟』室井 尚(アートン)

→紀伊國屋書店で購入 「昆虫が世界を救う?」 教授会がめずらしく早く終わったとき、同僚で現代中国文学が専門の山口守さんが「せっかく本もってきたのに読む間がなかったよ〜」とぼやきながら、妙に赤と銀のカバーのめだつ本を見せてくれた。バルーンでバッ…

『戦後批評のメタヒストリー』佐藤 泉(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「「戦後」観を再審に付す」 いよいよ憲法改定が政治のスケジュールにのぼってくるようだ。憲法を守るか、改めるか、いずれにしても戦後60年の歴史をどうとらえるかが焦眉の課題だといえる。しかし、戦後とひとくちに言っても単純ではな…

『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』群ようこ(文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 別れた夫から「妖怪」といわれた女性作家がいる。平林たい子である。小説『妖怪をみた』を書いたのは小堀甚二。戦前、プロレタリア文学の代表的な雑誌『文芸戦線』同人のひとりである。平林たい子は林芙美子の同時代人。小堀と同様に、…