福嶋亮大(ふくしま・りょうた)

1981年生まれ。文芸批評家・中国文学者。
京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(中国文学) 現代文学と現代中国文化を主なフィールドとする。
著書に『神話が考える ネットワーク社会の文化論』(青土社、2010年)。論文に「物語の見る夢――華文世界の文化資本」(『思想地図』vol.1)、「ホモ・エコノミクスの書く偽史」(『思想地図』vol.3)など。
→紀伊國屋書店で購入 「文学の組み換えのために」 1980年代頃から、日本の文芸批評では「近代文学の終わり」が公然と指摘されるようになった。日本社会の大衆化・メディア化が進むなかで、明治以来の文学世界――本書の言い方を借りれば「安下宿に住んでいる文…
→紀伊國屋書店で購入 「絵画の水平性とその先」 本書は、二人の美術批評家(ロザリンド・クラウスとイヴ=アラン・ボワ)が1996年にパリのポンピドゥー・センターで組織した展覧会のカタログとして書かれた。しかし、一読して明らかな通り、その内容は通り一…
→紀伊國屋書店で購入 「情報と文学の関係」 著者の佐々木中氏は『夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル』(2008年)という大部の思想書で、注目を集めた。本書でも特にルジャンドルが重要な導きの糸となっているものの、主題はあくまで「文学」に据え…
→紀伊國屋書店で購入 「中国絵画史を書き換える画期的な著作」 欧米の中国美術史研究は、ここ二〇年ほどのあいだに瞠目すべき成果を挙げた。巫鴻(Wu Hung)、クレイグ・クルナス(Craig Clunas)、ロータ・レダローゼ(Lothar Ledderose)、白謙慎(Bai Qi…
→紀伊國屋書店で購入 「ロボットのもたらす戦争の革命」 先ごろアカデミー賞作品賞ほか6部門で賞を獲得したキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』は、イラク戦争に従軍する爆弾処理兵を扱った映画である。これまでは戦争映画の主人公というと、前…
→紀伊國屋書店で購入 「中国大衆文化の底面」 巷には「中国四千年の歴史」などという表現があるが、これはいささか誤解を招く言い方である。というのも、こうした言い方は、中国の文明がずっと等質の歴史を刻んできたような印象を与えてしまうからだ。しかし…
→紀伊國屋書店で購入 「身体性と結びついた知能」 本書は、知能を「身体性」との関わりから問おうとする研究書である。著者たちは、思考が行われる場を脳の外に、具体的には、身体と環境の接面において見ようとする。彼らによれば、空間的認知や社会的認知は…
→紀伊國屋書店で購入 「特撮のパトリオティズム」 脚本家・上原正三は、日本の特撮の歴史を語る上で不可欠の存在である。上原は、円谷プロダクション制作の『帰ってきたウルトラマン』でメインライターを務めた後、いわゆる「戦隊モノ」の草分け的存在にあた…
→紀伊國屋書店で購入 「起業家としての宗教家」 日本では、ベンチャー起業家はしばしば宗教家のように、つまり熱狂的な支持を集めるが、同時にきわめてうさんくさい存在であるように見られている。しかし、本書が示すのは、その逆も言えるということである。…
→紀伊國屋書店で購入 「休みなきランダムな世界」 本書の表題である「ミドルワールド」は、素粒子レベルのミクロワールド(ナノメートル以下)と、人体や動植物、宇宙といったマクロワールド(ミクロン以上)の中間にあるスケールの領域を指している。具体的…
→紀伊國屋書店で購入 「中国新世代の文学」 現代中国が未曾有の経済的発展を遂げていることは、周知の通りである。その発展のなか、文学の領域においても、2000年代以降はこれまでにないタイプの作家が続々と現れてきた。「80後世代」(1980年代生…
→紀伊國屋書店で購入 「LCCの台頭」 本書はいわゆるLCC(ローコストキャリア)を乗り継いで、地球を一周してみるという趣旨の旅行記である。LCCはここ30年ほどのあいだに出てきた、格安を売りにする航空会社の総称で、サービスや人件費を徹底して削…
→紀伊國屋書店で購入 「『OUT』から『IN』へ」 桐野夏生は、一九九七年に出た『OUT』で大きな注目を集めた。工場の深夜パートに出ている団地の主婦たちが、夫の暴力や介護、貧困でじりじりと心身をすり減らすなか、ほんのささいな偶然からバラバラ殺人の…
→紀伊國屋書店で購入 「アニメーションを織りなす文化的記憶」 ピクサーのCG技術は驚異的である。『トイ・ストーリー』から『ファインディング・ニモ』『モンスターズ・インク』などのヒット作を経て、2008年公開の『WALL・E』に到るまで、ピクサ…
→紀伊國屋書店で購入 「社会を組み込む市場」 サブプライムローン問題とそれに続く世界不況については、大量の書籍が刊行されており、もはや汗牛充棟の感もある。そのなかで本書は、不況が本格化する前に着想されたにもかかわらず、現代の金融市場の持つ独特…