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斎藤環(さいとう・たまき)

斎藤環
1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群 環境生態学卒業。医学博士。現在、爽風会佐々木病院精神科診療部長。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に『生き延びるためのラカン』『ひきこもり文化論』『文脈病』など。

『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』綾屋 紗月、熊谷 晋一郎(医学書院)

→紀伊國屋書店で購入 私は精神科医だが、発達障害に関する知識は、ほぼ文献的なものに限られている。そういう「門外漢」として言うのだが、この領域の当事者本はきわめて「面白い」ものが多い。それらはしばしば、専門家による臨床的記述をはるかに凌駕する…

『ひきこもりの国』マイケル・ジーレンジガー著、河野純治訳(光文社)

→紀伊國屋書店で購入 自分が取材を受けた本の書評は書きづらいものだ。まして、そのテーマが私自身の専門と重なっている場合は。 本書の原題「遮られた太陽 Shutting Out the Sun」は、天の岩戸に隠れた天照大神のエピソードを連想させるが、テーマはむしろ…