岡井崇之(おかい・たかゆき)

1974年、京都府生まれ。
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士後期課程単位取得退学。奈良県立大学地域創造学部専任講師。専門はメディア研究、文化社会学、社会情報学。メディア言説と社会や身体の変容をテーマに研究している。主著に、『レッスル・カルチャー』(風塵社、2010年、編著)、『プロセスが見えるメディア分析入門』(世界思想社、2009年、共編著)、『「男らしさ」の快楽』(勁草書房、2009年、共編著)など。
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「『メディアからの観光論』と『観光からのメディア論』が交差するところ」 「観光メディア」といったときに思い浮かぶものはなんだろうか。名所、史跡を網羅した旅行ガイドブック、地域の名店や名物料理を満載したグルメ雑誌、…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「身体への現代的不安を問う」 少し前に「ちょいワル」や「カレ専」(枯れた男性専門)、「グレ専」(ロマンスグレー専門)という言葉が登場したように、男性の老いに関して肯定的に描く風潮が見られるようになった。だが、こと…
→紀伊國屋書店で購入 「『黒人』の身体能力神話を解体する」 スポーツの国際大会の中継を見ていると、「黒人選手は身体能力が高い」という表現が実況のアナウンサーや解説者の口から頻繁に聞かれる。また、それに対をなして「身体能力で劣る日本人」「組織力…
→紀伊國屋書店で購入 「『片づけられない』は現代の病理なのか?」 テレビのニュースで度々特集されるテーマの一つに、「片づけられない病」「ゴミ屋敷」がある。これらの特集では、片づけられない人が迷惑な隣人として描かれ、当事者がテレビのリポーターか…
→紀伊國屋書店で購入 「スポーツの多様性を想像するための一冊」 タイトルからは、本書は現代スポーツの情勢を地理的、ビジュアル的に把握するための図鑑か、教養として読んでおくべき教科書のようなものをイメージした。ところが、本書はいい意味でそのよう…
→紀伊國屋書店で購入 「義足が有機体となる過程――義足ランナーをめぐる語りの中で」 2012年ロンドン五輪とパラリンピックの両方に出場した両足義足のランナー、オスカー・ピストリウス選手の躍動感、レース後半の超越的な速さを評者は鮮明に記憶している。五…
→紀伊國屋書店で購入 「原発報道をめぐる/からの根源的な問い」 本書は、東日本大震災と原発事故が発生した3月11日から17日までのNHKと民放キー4局の報道番組を著者が精緻に検証したものである。「テレビ分析は、あくまでテレビテクストで起きたことがらに…
→紀伊國屋書店で購入 「ベリーダンスの多様性と」 ベリーダンスをめぐる個人的な経験からはじめたい。評者にとってベリーダンスとは、テレビや映画やアニメ、ゲームなどのサブカルチャーを通じた皮相の視覚経験でしかなかった。それは例えば、映画やアーティ…
→紀伊國屋書店で購入 「メディアとしての弔辞」 私事になるが、先日弔辞というものと向き合う機会があった。辞書を引くまでもなく、弔辞とは「死者を弔うことば」のことである。冠婚葬祭のマナーについて書かれたサイトや書籍は数多く存在しており、そこでは…
→紀伊國屋書店で購入 「『つながり過剰』の時代に読んでおくべき一冊」 現代社会はあらゆる分野で「つながること」に価値が置かれている。友人、恋人、家族とのプライベートなコミュニケーションからビジネスまで。「いかにつながるか」が社会のなかでの重要…
→紀伊國屋書店で購入 「『メディアとジェンダー研究』の最前線」 「メディアとジェンダー」。両者は相互に密接に関わり合っている。メディア研究、ジェンダー研究の双方で多くの蓄積と広がりもある。だが、深く関係しつつも一筋縄ではいかない両者の関係を正…
→紀伊國屋書店で購入 「シェア型消費からシェア型社会へ」 奥付によると、本書の発行日は2011年2月25日となっている。つまり東日本大震災が起きる2週間前である。「シェア」という消費形態への移行を踏まえつつ本書は書かれているが、3・11により、「シェア…
→紀伊國屋書店で購入 「文化としての『クールジャパン』」 本書は、2006年に放送が開始されたNHKの衛星放送番組『COOL JAPAN 発掘! かっこいいニッポン』で交わされたトークや、外国人による取材の内容をプロデューサーの堤和彦氏がまとめたものだ。スタジ…
→紀伊國屋書店で購入 「現代の自己愛とは何か」 本書は、アメリカの心理学者トウェンギとキャンベルによって2009年に出版されたThe Narcissism Epidemicの邦訳である。直訳すると「ナルシシズムの蔓延」とでもなるのだろうが、訳者は本文で「ナルシシズム流…
→紀伊國屋書店で購入 「戦後の舌禍事件を眺望する」 本書は、敗戦直後の東久邇宮稔彦(ひがしくにのみや・なるひこ)王による発言(1945年9月5日)から、記憶に新しい東日本大震災に絡んだ鉢呂吉雄元経済産業相による発言(2011年9月9日)まで、85の問題発言…
→紀伊國屋書店で購入 「ガールズマーケットの誕生」 本書のタイトルを見て評者が抱いた印象は、「東京ガールズコレクション」(以下、TGC)の市場動向やトレンドを解説したものだろうというものだった。また、こういったブームを扱った本には、そのブームの…
→紀伊國屋書店で購入 「震災と向き合った二人の民俗学者」 震災後、今和次郎(こん・わじろう、1888-1973)をめぐる書籍が相次いで出版された(本書の他に、今和次郎『今和次郎採集講義』青幻舎)。今和次郎は主に大正から昭和初期にかけて活躍した民俗学者…
→紀伊國屋書店で購入 「『呪いの時代』を乗り越える処方箋」 著者の論述には、意外性や逆転の発想がこれでもかというくらい詰まっていて毎回引き込まれる。「呪いの時代」というタイトルを目にしたとき、評者がイメージしたのは「呪いや占いのようなスピリチ…
→紀伊國屋書店で購入 「なぜシャンプーは世界中に広まったのか」 本書は、2010年にイギリスで出版されたBeauty Imagined: A History of the Global Industryの日本語版である。そこでメインテーマとされているのは日本語版のタイトルになっている「ビューテ…
「いま、<闘いの歌>を聴け!」 本書は編集者の高岡洋詞が中心となって企画したもので、35人の執筆者が名を連ねている。7つのカテゴリー(構成は文末に記した)とコラムからなり、言及されている歌は目次に挙げられているものだけで130曲にもなる。年代も、…
→紀伊國屋書店で購入 「身体論が拓く可能性」 本書は全8章からなる。どの章も興味深いが、ここでは、評者が特に惹かれた第2章と第8章に焦点を当ててみたい(各章のタイトルと著者は文末に記した)。 これはまったくの一読者としての感想にすぎないが、身体表…
→紀伊國屋書店で購入 「文化・メディアの両義性をかすりとる」 文化やメディアの排除性を否定的にとらえた書物は数多くある。しかし、読者は本書が一方的にメディアの差別性や差別用語を批判しようとするものではないことにすぐに気がつくだろう。その特徴は…
→紀伊國屋書店で購入 「力道山をめぐるイメージはいかに構築されたのか」 力道山をめぐる体験―。力道山が行った生涯最後の試合は、テレビ放送が始まって10年が経過した1963年の12月7日だった。ちなみにその後15日に暴漢に刺された傷がもとで死去している。 …
→紀伊國屋書店で購入 「サンボの通史であり、国家と格闘技をめぐる優れた論考」 本書は、ロシアで生まれ謎のベールに覆われた格闘技・サンボについて、その成り立ちに始まり、柔術・柔道との関係、メディア言説、国家体制や軍隊との関係、技術論などまで広く…
→紀伊國屋書店で購入 「『明星』の図像から読み解くアイドルと社会の変遷」 「『明星』だけは読むな」 個人的な体験から始めたい。評者は少年時代(ほぼ1980年代)に、母親からこのように言われて育った。男性週刊誌や少年漫画の性表現や暴力描写の方がはる…
→紀伊國屋書店で購入 「戦時日本へのまなざしを知るための貴重な資料」 本書『日本人の行動パターンは、ルース・ベネディクトの代表作『菊と刀』が発表される前に書かれた論文、「Japanese Behavior Patterns」(1945年)とそれ以前に書かれた「What shall b…
→紀伊國屋書店で購入 「柔術/柔道のグローバルな展開と還流」 「柔術/柔道はいったいいつ頃、どのようにして国境を越え、海外に根付いていったのだろうか。その国際化の道のりとはどのようなものだったのか」 本書はこのような問題意識を出発点としており…
→紀伊國屋書店で購入 「モードとしてのスローモーション」 本サイトでも執筆されている阿部公彦(あべ・まさひこ)さんによる単著である。本書は、「ゆっくり」に秘められる意味を現代文化のなかでとらえようという大きな構想力に基づいている。そのためのキ…
→紀伊國屋書店で購入 「斜視という身体性をどうとらえるのか」 言うまでもなく、著者は芥川賞作家であり、すでに人気作家としての地歩を築いている。したがって、その著者によって書かれた本書の書評も数多く存在している。しかも評者は文学作品については門…
→紀伊國屋書店で購入 「『オルタナティブ・メディア』を日本の文脈で考えるために」 本書は、ジャーナリストであり研究者でもあるミッチ・ウォルツ著ALTANATIVE AND ACTIVIST MEDIA(2005)をジャーナリストの神保哲生(じんぼう・てつお)さんが翻訳したも…