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   <title>アメリカン・ブックジャム：秦隆司／宮家あゆみ</title>
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   <updated>2010-03-01T23:24:30Z</updated>
   <subtitle>秦隆司／宮家あゆみ（アメリカン・ブックジャム）</subtitle>
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   <title>『Portrait of a Killer : Jack the Ripper - Case Closed 』Patricia Cornwell(Berkley)</title>
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   <published>2010-03-01T19:21:32Z</published>
   <updated>2010-03-01T23:24:30Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「パトリシア・コーンウェルの力作ノンフィクション」 ...</summary>
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="社会" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「パトリシア・コーンウェルの力作ノンフィクション」</span></p>
<br>　取材や調査に４００万ドルとも６００万ドルともいわれる物凄い費用をかけたノンフィクション。

　お金を出したのはもちろん著者のパトリシア・コーンウェル自身だ。コーンウェルは、１９５６年フロリダ州マイアミ生まれ。バージニア州監察医局に所属し州の死体公示所で６年間勤務した経験を持つ。９０年にスクリブナー社から出版された『Postmortem』（検屍官ケイ・スカーペッタ・シリーズ）がエドガー賞を含む六つの賞を取る大ヒットとなった、世界中に多くのファンを持つ人気推理小説作家だ。

ちなみに、彼女が人気作品の検屍官ケイ・スカーペッタ・シリーズで受け取るアドヴァンス（前払い出版契約料）は一冊につきだいたい９００万ドルだという。しかしこの『 Portrait of a Killer: Jack the Ripper - Case Closed』はノンフィクション作品なのでアドヴァンスの金額はどのくらいなのかは定かではない。

コーンウェルが追ったのは１８８８年にロンドンで起こった切り裂きジャック事件。その年の４月から１１月までに同一犯人により少なくとも５人から７人の女性が殺されたとされるもので、犯人は特定されていない。迷宮入りになった連続殺人事件として、いまでも有名な事件だ。コーンウェルは犯人をつきとめるべく独自の調査・分析チームを雇い入れ現地に乗り込んだ。

切り裂きジャック事件は、被害者女性の頚部を切り、子宮や腎臓を持ち去り、警察に「その肉を食べた」という手紙を送り付けるというセンセーショナルなものだった。

コーンウェルは、１００年以上前の捜査では不可能だった切手や封筒からのＤＮＡ鑑定や、コンピューターによる特殊な画像データ処理などの手法を駆使し犯人を特定している。

彼女が犯人であるとしたのは英国の印象派画家であるウォルター・シッカートという人物だ。

もちろんシッカートはすでに死亡し、被害者たちの検死をおこなった医師もこの世にはいない。全ては状況証拠であるが、シッカートの手紙と犯人が警察に送り付けた手紙に使われた紙の透かし文字が一致していることや、シッカートの行動範囲が犯人と重なるなどの証拠を積み重ね説得力のある結論を導き出している。

しかし、この本の読みどころは、謎説き部分だけではない。

事件の事実だけを追った作品ならば、謎説きが最大の読みどころだが、著者は犯人の殺人手口などもつまびやかに再現させる。このあたりは、さすが検屍官シリーズを書く作家だけあり、描写が細部におよびかなり血なまぐさい。ナイフが身体に入る角度や深さなどの描写や、犯人が闇に隠れ背後から背中を刺し、声が出ないように頚部を切るなどの説明は、時には生々しすぎて、背筋が凍るような恐怖が身体に走る。

シッカートの心理分析や生い立ちの調査も入念におこない、何故シッカートが連続殺人を犯したかの動機にも迫っている。随分暗い街として描かれているが、当時のロンドンの街の様子も分かるので、その楽しみもある。

　読み応えがあり過ぎて犯行のイメージが数日間は脳裏に残る。パワフルで面白い作品だ。






<br></p>
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   <title>『 Going Rogue : An American Life』 Sarah Palin(Harpercollins)</title>
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   <published>2010-02-22T20:42:26Z</published>
   <updated>2010-02-23T00:09:55Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「言い訳に終始したサラ・ペイリンの自伝」 　アメリカ...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="法律/政治/国際関係" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「言い訳に終始したサラ・ペイリンの自伝」</span></p>
<br>　アメリカの政治の動きを追うことは、僕にとっては趣味の一種に入るかもしれない。

　ニューヨークに住む僕はウルトラ・コンサーバティブともいえる、ラッシュ・リンボー、ショーン・ハニティ、マーク・レヴィン、スティーブ・マルツバーグ等のトーク・ラジオ番組を時々聞いている。

　個人的にはリベラルな考え方である僕は、司会者たちまたは番組に電話をかけてくる保守的な視聴者の意見を聞き、怒り心頭に達したり、「本気でそんなことを言っているのか」と耳を疑ったりしている。ウルトラ・コンサーバティブたちの考え方は、あまりもアメリカ中心でどうしても相容れないところがあるが、アメリカを知るうえでは、彼らの意見を知ることが欠かせない。

　一方夜はケーブルTV局MSNBCで、クリス・マシュー，キース・オルバーマン、レイチェル・マドウと続く、リベラル・メディア陣営のゴールデンタイム番組を観て、心を落ち着かさせている。リベラルな考え方を持つ人々がいて堂々と戦っているのもアメリカである。

　今回紹介するのは、コンサーバティブの一角をなす元共和党副大統領候補サラ・ペイリンの自伝『Going Rogue』。

　本の内容の前に、アメリカにおける彼女の位置をざっと紹介してみよう。

　前回の大統領選でジョン・マケインから副大統領候補の指名を受けた彼女は、それまでアメリカ全州レベルの政治舞台ではほとんど無名の存在だった。人々は「Palin」というラストネームをどう発音するのか確かでなかったくらいだ。だが、５人の子供の母（その内１人はダウン症の子供である）であり、ジェラルディン・フェラーロ以来の女性副大統領候補であるペイリンの登場に共和党陣営は沸き、彼女は一気にマケインの人気を押し上げた。

　ペイリンの登場は、女性大統領の誕生を願っていたヒラリー・クリントンを応援する人々の票をオバマ陣営から奪うのではないかと一時は本気で懸念された。

　アメリカは当然、ペイリン候補のことをもっと知りたがった。反中絶、強いアメリカ、愛国心、信仰、反ワシントン、ホッケー・マム（家庭を持つ普通の母親）等が彼女が打ち出したイメージだったが、どんな人柄なのか、どれだけの能力があるのかは全く分からなかった。

　アラスカ州知事であったペイリンに副大統領としての能力が備わっているのか、実際のところマケイン陣営でさえ分からなかったと思う。マケイン陣営は、ペイリンの囲い込みを始めメディアのインタビューを制限した。

　しかし、彼女もいつかはメディアのインタビューを受けなければならない。そんななかで、アメリカのテレビ局ABCがペイリンのインタビューをおこなった。大きな注目を集めたインタビューだった。インタビューをおこなったのはABCの司会者はチャーリー・ギブソン。

　このインタビューでペイリンは「ブッシュ・ドクトリン（攻撃を受ける可能性があれば、国の自衛権として先制攻撃をおこなうことができるというブッシュの戦略的思想）」という言葉を知らなかったことを世間に知らしめてしまった。

　その後のCBSのケイティ・コーリックとのインタビューでもアラスカがロシアに近いことを外交の経験としてあげた。アラスカがロシアと近いことを外交の経験としてあげたことは、すぐにコメディ・バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』で取り上げられ、全米の笑いの種となった。そのほか、同じくコーリックのインタビューのなかで、中絶を認めた判例以外は最高裁の判例にどんなものがあるかを知らないことを認める失態を演じた。　

　その後もスキャンダルは続き、ペイリンとその家族の洋服やメーキャップ代として莫大なお金がつぎ込まれたと報道され、ミシガン州の選挙活動をマケイン陣営が中止したときには、ペイリンにそのメッセージが伝わっていなかったことが判明した。また、フランスのサルコジ大統領に扮したカナダのお笑いコンビからにせ電話を受け、サルコジ大統領からかかってきた電話と信じてまともに対応をした。

　ノース・カロライナの小さな町でおこなった演説では、そこに集まっている保守的な人が「本当のアメリカ人」で「ここはアメリカを肯定する地域」と発言し、違う考え方の人々は「本当のアメリカ人」ではないのか、そしてアメリカを否定する地域はどこなのかと批判を浴びた。

　ペイリンはだんだんとマケインの足を引っ張る存在となり、オバマ陣営が有利となるほど、彼女はもう次の大統領を見据えて自分の売り込みを始めているという憶測がマケイン陣営のなかでも生まれた。

　大統領選の終わり頃には、選挙の失敗は彼女にあり自分たちの失敗ではないといわんばかりに、マケイン陣営側から彼女の悪評がメディアにリークされていった。

　とまあ、この流れを受けて書かれたのが今回の自伝だ。

　本の内容は彼女の生い立ちから現在までだが、やはり一番の注目は、あれほど批判を浴び笑いの種となった大統領選での話だろう。

　結論から言うと彼女の意見は見事なほど簡単である。

　メディアは私に意地悪だった。ケイティ・コーリックは私に意地悪だった。マケイン陣営は私に意地悪だった。私は自分を出せなかった。マケイン陣営のマイクロ・マネージメントのせいで、私は誤解された。にせ電話はほかの人たちも騙されている。すべてにおいて私は悪くない。

　この自伝は読む人は、彼女の自己を正当化する姿以上のものを得ることはできない（アラスカの生活を知ることはできるが、アラスカの生活を知らせるのは彼女でなくともいいだろう）。

　彼女は「普通の母親」であることを自分の強みとしているが、彼女の姿勢はある種あまりに「普通」すぎる。彼女のものの見方は「白か黒」で、深い洞察や多角的な視点が感じられない。アメリカの味方でない者はアメリカの敵だという主旨の発言をした前ブッシュ大統領に通じるところがある。一般の人ならそれでも済まされるが、政治家としては資質が足りないだろう。

　また、彼女は自分を故ロナルド・レーガン元大統領に重ね合わせようとしているふしがあるがそれは無理がある。この本の副題『An American Life』はレーガンが著した自伝のタイトルでもある。

　彼女がこの自伝を、自分を知ってもらうつもりで書いたとしたら、読者は充分
に彼女のことがわかっただろう。もし彼女が、誤解をといて将来の政治活動につなげよとしてこの自伝を書いたとしたら、それは逆の効果を生み出している。どちらにしても、言えることは、この自伝を書いたことで彼女に円にして億単位の金が支払われたということだ。












<br></p>
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   <title>『Bright-Sided : How the Relentless Promotion of Positive Thinking Has Undermined America』Barbara Ehrenreich(Metropolitan Books)</title>
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   <published>2010-02-11T03:30:41Z</published>
   <updated>2010-02-12T00:06:38Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「ポジティブ・シンキング万能の考え方に一石を投じる本...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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<p><span class="purple">「ポジティブ・シンキング万能の考え方に一石を投じる本」</span></p>
<br>　世の中には何事にも前向きという人がいる。自分の周りに起こることをポジティブに捉え、元気に進んでく。一方、多くのことを悲観的に捉え、すぐにくよくよとしてしまう人もいる。そうして、僕のように社会の大きな流れには背を向けて、何がそんなに楽しい、あるいは悲しいのだろうと、いうなれば世間を真っすぐに受け止められず、どこか斜めに見ている人間もいる。

　このなかで最もよいとされているのは、もちろんポジティブな生き方だろう。いつも前向きな考え方や態度でいれば、いいことが起きるとポジティブな人は言う。僕はそういうふうにポジティブに生きていける人がうらやましくもあるが、どこかでそんなに単純には生きていけないと感じ、このポジティブな生き方にどこかうさん臭さを感じていた。

　僕が感じるポジティブさへの、このうさん臭さはどこからくるのだろうと考えていたが、はっきりとした答えは出なかった。

　しかし、世の中には同じように考えている人もいるもので、今回読んだ『Bright-Sided』はこのうさん臭さの元をはっきりと見せてくれた。

　著者は、バーバラ・エーレンライク。『Nickel and Dimed』や『Bait and　Switch』などの著作がある硬派な社会派のジャーナリストだ。

　著作の舞台はアメリカだが、アメリカでもポジティブな生き方は良いとされている。「Positive」と「Right」は同義語になっているくらいだ。しかし、このポジティブに生きようとする考え方、ポジティブ・シンキングが企業や個人、それに政府に都合よく使われている。

　例えば、企業の業績が悪くなるとアメリカはすぐに人を切り捨てる。そうして、経営陣は切り捨てた人々のところへポジティブ・シンキングを唱えるいわゆる「ポジティブ・シンキングコーチ」を送り込む。コーチは解雇された人々を前に、逆境でも前向きに生きることが唯一の道だと唱える。状況が悪くなったのは、自分のポジティブさが足りなかったため、物事がうまく行かないのも君のポジティブさが足りないからだと力説する。なにもかも自分のせい。企業や業績を悪化された経営陣は悪くなく、前向きさが足りなかったあなたたちが悪い。だから、これからはもっとポジティブに生きよう、という具合だ。

　また、宗教でもこのポジティブ・シンキングが利用されているとバーバラは報告している。神を信じれば、仕事、昇進、恋人、車、家、子供、地位など、なんでも手に入る。まだ手に入れられていないのは、あなたのポジティブな祈りが足りないからだ。神は、神にポジティブな人には、きちんとした物や場所を用意している。さあ、神に対するポジティブさを見せよう（つまり多額の寄付や奉仕労働をおこない、その宗教家の言う通りにすること）と、大金持ちの宗教リーダーは言う。

　また、今回のアメリカに端を発した金融危機にも、ポジティブ・シンキングが関わっている。リーマンショックに代表される今回の金融危機は、多くの金融機関がローンを返せない人々に住宅ローンを組ませ、その焦げ付きが問題となった。ローンを組ませた金融関係の人のなかには、いままで住宅を持つことができなかった人々に住宅を持たせることができると本気で考えた人々がいて、借りる方も今の状況では返せないが、いつか返せる状況になると物事をポジティブに捉え、住宅ローンを組んだ。結果、物事はそうはうまくはいかず、最後はローン返済が不可能になってしまった。

　ポジティブ・シンキングの欠陥は、ネガティブな考えや意見を排除するところにある。ネガティブな要素を認めたら、ポジティブな考え方には辿り着かない。そのため、ポジティブ・シンキングを実践しようとすると、的確な判断が不可能になってしまう。ジョージ・W・ブッシュはイラク戦争に突入する際、開戦を阻むネガティブな情報を排除し、開戦に反対する者の意見を排除した。会社組織においても、社員の能力ではなく、ネガティブな意見を持つ者が排除されていく。

　戦争を開始し、人々や社会に大きな不幸をもたらした、ブッシュとその政権にいた人々はいまでも元気に暮らし、金融危機を引き起こしたアメリカ金融業界のトップたちは、税金によって助けられ、また多額のボーナスや給与を受取っている。苦境に陥った人々は、誰のせいでもなく、それはみなその個人のせいであり、何故そういう状況に陥ったかの本質を考えるよりも、ポジティブなことだけを考えて生きるのが最良の道だと教えるのがポジティブ・シンキングの一面だ。

　いま社会に蔓延している、ポジティブ・シンキング万能の考え方に一石を投じる本だ。

<br></p>
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   <title>『 Too Big to Fail : The inside Story of How Wall Street and Washington Fought to Save the Financial System from Crisis---and Themselves』 Andrew Ross Sorkin(Viking )</title>
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   <published>2010-01-25T17:38:24Z</published>
   <updated>2010-01-26T01:17:56Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「リーマン・ショックはどうやって起こったか」 　２０...</summary>
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="経済/ビジネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「リーマン・ショックはどうやって起こったか」</span></p>
<br>　２００８年３月、アメリカの大手投資銀行および証券会社のベア・スータンが資金繰りに行き詰まり、連邦準備制度理事会（FRD）が緊急の特別融資をおこなった。

　その週末にはJPモルガン・チェースによるベア・スータンの買収が発表された。僕を含めた多くの人にとっては、この買収劇がアメリカ金融市場がおかしなことになっていると気づくきっかけになったに違いない。

　問題はアメリカの金融機関がおこなったサブ・プライムローンにあった。住宅の値段は上がるという憶測のもと、返済能力以上の住宅ローンを多くの人に勧め組ませたのだ。頭金もいらず、最初の数年間は低い金利に対する支払いをするという条件で家が買えた。その数年間に家の値段はあがり、金利が上昇する前に家を売り、あがった分が儲けとなるというもくろみだった。

 しかし２００６年に住宅バブルがはじけ、家の価格は購入時の値段より低いものとなり、当然のことながらローンの支払いができなくなった。

　まあ、これだけならアメリカ国内だけの問題だが、ウォール街の金融機関は、サブ・プライムローンを証券化し世界の金融機関や機関投資家に売りまくっていた。

　そして、９月リーマン・ブラザースが破綻。これにより、世界の金融機関は手持ちの不動産に連動した金融資産にいったいくらの価値があるか実体を把握することができなくなり、パニック状態に陥った。

　前置きが長くなったが、今回紹介する本はこのリーマン・ブラザースや他の金融機関が倒れあるいは買収されていった内幕を時系列に追ったノンフィクションだ。

　著者は経済ジャーナリストとして定評のあるアンドリュー・ロス・ソーキン。彼が今回の金融危機に直接関わった２００人を超える人物からインタビューをとり書き上げた力作だ。

　登場人物は当時のニューヨーク連銀総裁ガイトナー（現財務長官）、当時の財務長官ポールソン，FDR議長バーナンキー、ゴールドマン・サックス幹部、リーマン・ブラザース幹部、ＡＩＧ幹部、JPモルガン・チェース幹部、バンク・オブ・アメリカ幹部、メリル・リンチ幹部、シティ・グループ幹部、数多くの弁護士、連邦および州政府のキーマンたち、証券取引委員会幹部などで、彼らがいかに一連の金融危機に対峙したかが手に取るように分かる。

　それぞれのもくろみがぶつかりあり、まるでミステリーを読んでいるような迫力に溢れている。

　著者がインタビューをした幹部の１人は「This was history in the making.（これは歴史が作られていた時だ）」と語っている。

　著者の取材に協力した多くの人物たちもやはり同じ気持だったに違いない。そして、その歴史を残すために著者は書き、人々は語った。その記録がこの一冊だ。

　ノンフィクションであるために、登場する人物の言動が劇的に書かれてあり、まるで彼らが難局に立ち向かうヒーローであるかのような錯覚に陥る。しかし、普通の人々にとって彼らは加害者組である。事実を客観的に捉えようとした著者の意識は感じるが、少し登場人物よりだと感じられた作品でもあった。

<br></p>
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   <title>『Skinny Dip』Carl Hiaasen(Grand Central )</title>
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   <published>2010-01-19T00:04:26Z</published>
   <updated>2010-01-20T01:35:13Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「サンバのテンポを持つ小説」 　数年前、住んでいたニ...</summary>
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<p><span class="purple">「サンバのテンポを持つ小説」</span></p>
<br>　数年前、住んでいたニューヨークからフロリダの友人の家まで車で行ったことがある。ニューヨークからフロリダまでは車だと２４時間くらいかかる。その日は朝早く出発したが、途中で夜になりインターステート沿いにあったガソリンスタンドの駐車場に車を止め、車のなかで一晩を過ごした。夜中にパトカーが隣にやってきて、警官が僕の車の窓を叩き「何をやっているんだ」と聞いた。僕は「フロリダに行く途中で、今夜は車で寝ている」と警官に告げた。警官は窓ごしに車のなかをのぞき、何もなさそうだと分かるとそのまま走り去っていった。

　友人の家に次の日の午後に着き、そいつの家を拠点としてマイアミやオーランドを回った。フロリダでの１日が終わると、僕はピナカラーダやダイキリなどのいわゆるトロピカル・ドリンクと呼ばれる酒を飲んだ。フロリダはやはりちょっとした楽園だった。

　今回読んだ『Skinny Dip』はフロリダに住んでいる作家カール・ハイアセンの作品だ。カテゴリーとしては犯罪小説の種類に入るのだろうが、読んでいて楽しく、フロリダでトロピカル・ドリンクを飲んでいるような爽快感を味わえた。

　物語は、チャズという悪知恵が働く生物学者が妻のジョーイをフロリダに向かうクルーズ船から海に突き落とす場面からはじまる。チャズは金儲けのためにだけに博士号を取った男なので、海流の動きさえ知らない。へびを車で平気でひき殺し、リサイクル運動などにもまるで興味がなくごみの分別などする気もない。チャズに船上から突き落とされたジョーイは大学時代に水泳チームのキャプテンだったくらい泳ぎは得意だったが、岸に着く前に力つきてしまいそうになる。それを救ったのがミック・ストラナハンというフロリダの島にひとりで暮らす男だった。ストラナハンはジョーイに警察にいくことを勧めるが、チャズが犯行を否定し裁判となったら嘘の上手いチャズに勝つ自信のないジョーイは、自ら夫に復讐をすること決める。そして、その復讐にストラナハンも協力することにする。

　この物語は、いかにしてふたりがチャズにお灸をすえていくか、チャズがジョーイを殺そうとした理由はなにかが中心となっている。フロリダが抱える環境問題もからんで、物語は多くの人々を巻き込んでいく。

　この作品の爽快感は構成から生まれていると思う。出だしの事件が起こる部分を除いて、主人公や主人公の友人たちが命の危機に直面することはなく、文章にもその気配さえ感じられない。読者は安心して、主人公が相手を追いつめていくコミカルな過程を眺めていればよく、そこが爽やかさのもととなっている。

　また、登場人物たちに対する著者の温かい、しかし皮肉が利いた視線が感じられ、それもこの作品が爽やかな読後感を与えてくれるもうひとつ理由となっている。温かくしかも一方では、皮肉の利いた著者の視線は、主人公に追いつめられる悪役に対しても向けられていて、最後までコミカルな雰囲気が漂う作品となっている。

　『Skinny Dip』の文章は洒落ていて『ニューヨーク・タイムズ』紙はこんな作品を書ける才能のある人間は、ウッディ・アレンなどほんの数人だと評している。サンバのテンポを持つ小説や、トロピカル・ドリンクの爽快感がある作品を読みたい人にお勧めだ。
<br></p>
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   <title>『The Help』Kathryn Stockett(G.P. Putnam’s Sons)</title>
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   <published>2009-12-27T14:28:01Z</published>
   <updated>2009-12-28T00:28:39Z</updated>
   
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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<p><span class="purple">「６０年代南部での白人と黒人の絆を描いた作品」</span></p>
<br>　アメリカ国内でもボストンで大学時代を過ごし、ニューヨークで多くの時間を過ごした私にとって、アメリカ南部は「もうひとつのアメリカ」と言っていいほどの文化的距離感がある。

　しかし、文学的にみるとアメリカ南部は優れた作家の宝庫だ。ウィリアム・フォークナー、バリー・ハナ、リチャード・フォード、そして私の好きなダン・ブラウン。人気作家ジョン・グリシャムも南部出身の作家だ。

　南部の州のなかでもミシシッピ州は、泊まりがけで作家や編集者それに本屋の店主にインタビューをした土地だ。

　その時の空気の重さ、熱さ、そして町の匂いをいまでも憶えている。

　今回読んだのは、そのミシシッピ州ジャクソンを舞台とした小説「The Help」だ。時代は６０年代初頭。６０年代初頭というと、サンフランシスコやニューヨークではフラワー・パワーが台頭した時代だが、南部のこの街ではいまだ保守的な価値観が主流となっている。

　物語は２０代前半の白人女性スキーターと黒人のメイド、アイビリーンとミニーの語りで語られていく。

　スキーターは作家になりたいという夢を持ち、ニューヨークの大手出版社に連絡を取る。彼女の就職の希望はもちろん断られるが、誰も書かない問題を書けという助言を受ける。

　この返事をきっかけにスキーターは、白人家庭でメイドとして働く黒人女性たちがどういう気持で毎日を過ごしているかを聞き取り原稿にしようと決心する。彼女がこの決心をした理由のひとつは、幼い自分を育ててくれ、ある日突然彼女の前から姿を消した黒人メイド、コンスタンティンの存在があった。コンスタンティンは何故突然いなくなってしまったのか、またいかなる気持で自分を育ててくれていたのか、スキーターの心に解決できない謎が残っていた。

　一方、スキーターの既婚白人女友達たちのグループは、衛生のためと称して黒人メイドは彼女たち家のなかでも黒人専用トイレを使わなくてはならないという規則を提案する。

　そして、スキーターの原稿を手助けしてくれるのが、アイビリーンとミニーだ。もし、３人の関係が地元の白人に知れたら３人の生命さえ危うくなる。

　白人家族と黒人メイドの間は、憎悪と愛情の微妙な関係が存在している。その感情を描くことによって、人種を越えた人間としての普遍的な感情を表すことに成功している優れた小説といえる。ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー・リストにも長期間入っている注目の作品だ。
<br></p>
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   <title>『Superfreakonomics 』Steven D. Levitt &amp; Stephen J. Dubner(Harperluxe)</title>
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   <published>2009-12-15T00:13:56Z</published>
   <updated>2009-12-15T01:14:15Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「経済学の視点でおもしろい結論を見せてくれる本」 　...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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<p><span class="purple">「経済学の視点でおもしろい結論を見せてくれる本」</span></p>
<br>　シカゴ大学にスティーブン・Ｄ・レヴィットという経済学の教授がいる。ハーバード大学を卒業し、マサチューセッツ工科大学で博士号を取った秀才だ。レヴィットはこれまで数多くの論文を書いてきたが、その内容がおかしい。曰く『ドラッグ売人ギャングの財務についての分析』（クオータリー・ジャーナル・オブ・エコノミックス２０００年）、『黒人が黒人特有の名前をつける理由と結果』（クオータリー・ジャーナル・オブ・エコノミックス２００４年）など、レヴィットは普通の経済学者とは違った視点で世の中を見ているようだ。

　彼はお金の動きというものにはあまり関心がなく次のように語っている。

　「経済のことはあまり知識がなく、数学もあまり得意ではない。計量経済学についても多くの知識はない。もし、これから株の市場が上がるか下がるか、経済が拡大するか縮小するか、デフレは良いか悪いかなど聞かれて、それに分かったような答を言えば嘘をつくことになる」

　レヴィットは変わり種の経済学者と言えるが、アメリカの学術界も懐が深く、そんなレヴィットにジョン・ベイツ・クラークメダルを贈っている。この賞は４０歳以下の最も優れたアメリカ人経済学者に贈られる賞だ。また、レヴィットは、特定のデータから資金洗浄をおこなう者やテロリストの居場所をつきとめるようＣＩＡ（中央情報局）の依頼を受けたりもしている。

　そのレヴィトがジャーナリストのスティーブン・J・ダブナーと共著による本を出版した。タイトルは『SuperFreakonomics』。FreakonomicsとはFreak（風変わり）という英語とEconomics（経済）を合わせた造語だ。

　この『SuperFreakonomics』は２００５年に同じコンビで出版された『Freakonomics』の続編となる。日本でも『ヤバい経済学』という邦題で翻訳されているのでご存知の方も多いだろう。

　前作では「学校の教師と相撲力士の共通点」「白人至上主義の秘密結社クー・クラックス・クランと不動産業者はどこが似ているか」「ドラッグ・ディーラーは何故母親と暮らしているか」などの命題に経済学の手法で興味深い答えを出している。

　今回の『SuperFreakonomics』でもレヴィットとダブナーは面白いテーマを追っている。まず「ストリートの娼婦とデパートに現れるサンタはどこが似ているか」という命題。

　本ではアメリカの歴史から、１８９０年代から１９２０年代の娼婦の収入を追っている。この時代娼婦はだいだい１週７０ドルを稼いでいた。これを現在の価値に置き換えてみると年収７万６０００ドルとなる。また、高級娼婦の家として名を馳せたエヴァリー・クラブに働く娼婦は１週４００ドルを稼いでいたという。これはなんと今の年収の４３万ドルに値する。何故、セックスの価値がこれほど高かったかというと、これは需要と供給の差にあった。当時、結婚の目的から外れセックスを許す女性は非常に少なく、一方、男性のセックスの欲求は、まあ、現代と変わらないと言っていいだろう。また、法律も娼婦だけを罰するもので、娼婦になることは社会的な将来を捨て、捕まる危険も一手に引き受けることを意味していた。

　その娼婦業界に価格破壊が訪れたのが６０年代だった。社会的モラルの規制が緩くなり、フリー・セックスが声高に叫ばれた時代だ。世間には無料でセックスを提供する女性が多くなり、需要と供給の差が縮まった。娼婦たちにとっては一般女性（無料のセックス）という手強い競合相手が市場に出現したことになる。

　もし娼婦業界が他の業界と変わらなければこの時、農家や工業界が政府に訴えを起こしたように「娼婦保護法」を提唱し、一般女性からの無料セックスに歯止めをかける法案の通過を政府に訴えたはずだと著者は言う。しかしそんなことは起こらず、需要と供給のバランスは崩れ、現在ではシカゴ地区の統計によると娼婦との通常のセックスの値段は約８０ドルだという。

　しかし、毎年７月初旬にその値段は一気に３０％上昇する。その理由は、アメリカの独立記念日にあたる７月４日は人々が集まり、叔母の手作りのレモネードを飲むだけでは飽き足らない人々がセックスを求めて通りに出るからだ。

　これが先ほどの「ストリートの娼婦とデパートに現れるサンタはどこが似ているか」という命題の答えだ。答えはどちらもホリデイ・シーズンに需要が高まり、価値が高まるというもの。


　また、「自爆テロリストは生命保険をかけたほうがいい理由」の命題では、何故自爆テロリストが貧困の低所得層からではなく、ある程度の教育を受けた中産階級の出身者たちなのかを探っている。その答えとして自爆テロリストは選挙の際に投票をおこなう人々と同じ階層だと結論づけている。

　そして国外に潜む自爆テロリストは「家を持たない」「金曜日にＡＴＭから週末用のお金を引き出さない」「普通預金口座を持っていない」「モスリム系の名前である」そして「生命保険をかけていない」などの特徴があるという。そのため、自分がテロリストであることを見破られないためには名前を変え、家族に対する生命保険をかけることは有効であるとしている。

　そのほかにも「酒酔い運転と、酔って徒歩での帰宅とはどちらが危険か」「子供の生まれる月とその子供の将来の関係」「カンガルーを食べることで地球は救えるか」などの命題に経済学の視点からの興味深い答えを出している。

　優れた経済学者とジャーナリストの鋭い分析と巧みな文章により社会や人間の違った側面をみせてくれる、一般の人でも楽しめる本だ。

<br></p>
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   <title>『Tokyo Vice : An American Reporter on the Police Beat in Japan』 Jake Adelstein(Pantheon Books )</title>
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   <published>2009-12-02T14:13:16Z</published>
   <updated>2009-12-04T01:26:11Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「アメリカ人記者が追った日本の裏側世界」 　私は夜眠...</summary>
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="社会" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「アメリカ人記者が追った日本の裏側世界」</span></p>
　私は夜眠る時に、ラジオを聞きながらでないと眠れない。もう２０年以上続いている習慣で、最近はポッドキャストで日本の放送も聞いているが、たいていは地元ニューヨークのラジオ局WNYCのトーク番組を聞いている。<br>
　暗闇のなかでイヤフォンから流れるインタビュアーとゲストのやりとりを聞いているとだんだんと眠りの縁に近づいていく。

　１０月の半ば、そうやってうとうとし始めた私の耳に「トキョー・ヴァイス」という言葉が聞こえてきた。その時、聞いていたのはブライアン・レーラーという司会者のトーク番組で、本を出版した作家をゲストに迎えることも多い。

　このトーク番組とレナード・ロペートの「The Leonard Lopate Show」は私の好きな番組で、最近はポッドキャスでも配信されている。夜または深夜にやるこれらの番組は昼間の再放送で、ポッドキャストのおかげでいつでも聞けるようになったのは大変うれしい。

ところで、日本に長く滞在しヤクザについての本を出した作家がゲストとなっていたその夜、残念ながらレーラーはそのゲストに対しては、上っ面な質問に終始していた。しかし、レーラーに不満を感じながらも、私はその本を買うことを決めた。

　それが今回紹介する「Tokyo Vice」。著者は９３年から２００５年まで読売新聞の記者を務めたジェーク・エーデルスタイン。

　彼はソフィア（上智大学）在学中に読売新聞社の試験を受け、正式に記者として採用され、最初は埼玉（ニュージャージー州と同じようなダサいイメージがあると著者は言っている）に配属された。しかし、その後、新宿歌舞伎町が彼の取材地域となる。
　　
　本は大学時代に読売の入社試験を受けるところから始まり、読売新聞支社の様子や同僚、先輩記者の様子が時にはコミカルに描かれる。しかし、全体としては彼が事件を追うさまを描くハードボイルドな仕上がりの本となっている。

　この本の最大の面白さは、日本文化の裏側に外国人が奥深く入り込み、その様子を外国人の視点でレポートしているところだろう。法律では売春が禁止されている日本で、何故歌舞伎町のような場所が存在するのか。著者は、友人の外国人女性から話を聞き、東京でおこなわれている人身売買の調査を始める。また、六本木にたむろする外国人の世界も書いている。

　その一方で、日本の大物ヤクザが、アメリカ政府のブラックリストに載っているにもかかわらず、アメリカで肝臓移植手術を受けた。何故、そのヤクザがビザを取得でき、アメリカに渡ることができたのかを著者は調べ始める。

　「ゴトーはＦＢＩに、山口組の組員、フロント企業、金融機関の包括的なリスト、それに北朝鮮の活動に関する情報の提供を約束した。その見返りにゴトーはアメリカのビザを要求した」

　肝臓移植手術を順番で待つ多くのアメリカ人を飛び越え、日本のヤクザが優先的に手術を受けたこの出来事はアメリカ大手テレビ局CBSのニュース・マガジン「60 Minutes」でも取り上げられ、エーデルスタイン自身も番組に登場している。

　鋭い調査と、文化の違い、そして人情や悲劇のやるせなさも味わえる本だ。


<br></p>
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   <title>『The Lost Symbol』Dan Brown(Doubleday)</title>
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   <published>2009-11-16T15:54:09Z</published>
   <updated>2009-11-16T23:53:23Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「疾走感溢れるダン・ブラウンの新作」 　「フリーメイ...</summary>
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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<p><span class="purple">「疾走感溢れるダン・ブラウンの新作」</span></p>
　「フリーメイソン、見えない大学、保安局、SMSC、そして純粋理性研究所を含むこの小説に登場するすべての組織は存在する。この小説で描かれるすべての儀式、科学、芸術作品、そして記念建造物は現実のものである)」<br>
　２００３年に出版された『The Da Vinci Code』の大ベストセラーから６年ぶりとなるダン・ブラウンの新刊は、物語が始まる前にこのように記されたページがある。

　ダン・ブラウンは前作で、記号、歴史、芸術、宗教、秘密結社の事象を組み合わせ、エンターテインメント性の高い読み応えのあるスリラーを作り上げた。

　６年を経た今回の新作の主人公も、前作同様ハーバード大学の宗教象徴学教授ロバート・ラングドン。つまりこれは、ラングドンを主人公とした『Angeles & Demons』、『The Da Vinci Code』に続く３作目となる。

　前作はキリストの聖杯の秘密をめぐっての作品だったが、今回はフリーメイソンが守る古代の謎が登場する。舞台はアメリカのワシントンD・Cだ。アメリカ建国に関わった多くの人々がフリーメイソンのメンバーだったことは周知の事実だろう。

　物語は、ラングドンが彼の助言者であるピーター・ソロモンの助手からのメッセージを受け、アメリカ合衆国国会議事堂内にある国立彫刻ホールでの講演をおこなう決心をするところから始まる。ピーターはフリーメイソンの重要メンバーでもある。

　急な依頼だったため、ラングドンはピーターが用意したプライベートジェットを使いボストンからワシントンD・Cに向かう。しかし、その日、講演などは予定されておらず、国会議事堂で彼の見たものは、切断されたピーターの手首だった。

　その手首の形と指に彫られた刺青は、古代の謎への招待を表していた。それは、ピーターの助手になりすました犯人からのメッセージであり、ラングドンは捕らえられたピーターを救い出すため古代の謎のありかを探そうと決心する。

　事件現場にはすでに、ＣＩＡ保安局の局長である日系アメリカ人イノウエ・サトーが駆けつけていた（日本人としてはイノウエ・サトーという名前に違和感を憶えるが、これもある効果を狙っての名前つけ方となっている）。

　人類の歴史を変える力を持つといわれる古代の謎とは。何故サトーがすでに事件現場にいたのか。ＣＩＡの介入はアメリカ政府内部の動きを示唆するものなのか。ピーターを誘拐した者の狙いはなにか。ピーターはまだ生きているのか。

　謎が謎を呼び、ピーターの妹で人の意識と時間と空間の関係の研究をしているキャサリンも巻き込み、物語は展開していく。

　前作に劣らず、新作も疾走感溢れる優れたエンターテインメント作品だった。
<br></p>
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   <title>『Nurtureshock : New Thinking about Children』Po Bronson, Ashley Merryman(Twelve)</title>
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   <published>2009-11-10T13:58:09Z</published>
   <updated>2009-11-11T00:41:19Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「間違った子育ての常識と、新たな考え方」 　今、ニュ...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="教育/子ども" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「間違った子育ての常識と、新たな考え方」</span></p>
<br>　今、ニューヨークで小学２年生の息子を持つ親として、子供とどう接するかはいろいろ悩むところだ。息子は、３歳の時に言葉の発達が遅れているとされスペシャル・エデュケーションを受けていた。自閉症（オーティズム）の恐れもあるとされて、普通の幼稚園ではなく発達が遅れた子供たちだけのための園にも１年間通った。

　しかし、小学校入学前に人から勧められてギフテッド・クラス（知能が高く、才能がある子供たちだけのためのクラス）の試験を受け合格し、彼はスペシャル・エデュケーションのクラスから一転して英才クラスに通うようになった。言葉の方もいまはうるさいくらい喋っている。

　その数年間に、僕と妻の宮家あゆみは、ニューヨーク州保健局、セラピスト、幼稚園、州政府指定の能力評価員、ニューヨーク州教育局、先生などと渡り合い、いかに親として周囲の思惑や助言を取り入れたり、排除したりして、息子に最も適した環境を作り出して行くかを学んだ。セラピストのなかには、息子がいつまでも通っていた方がお金になるので、「彼の学習能力は進んでいるが、いまだに重大な遅れがある」というレポートを出して彼を手放そうとしない人や、州からの補助金の都合かどうかは分からないが「彼は普通の幼稚園では生き残れない」とする園長などと戦った。

　その時の問題は、人々が本心からそう言っているのか、自己利益のためにそのような評価をしているのかがはっきりしないところにあった。最後の決断はいつも、毎日息子の行動や言動に接していた、親としての「感」だった。

　という訳で、ニューヨークでの子育ては今も手探り状態なので、今回紹介する「NurtureShok」は大変面白く読めた。

　内容は、いままで正しいと信じられていた子供の育て方が、実は子供にとって悪影響さえ及ぼすことがあるという事象を、多くの調査結果をもとに紹介しているものだ。

　最初の章にでは、子供は褒めて育てた方がいいという育て方に疑問をてい呈している。特に「君は頭がいい」という一言。これは子供たちに自尊心や自負を植えつけ、その結果としてよい成績や人生を得てもらおうという考え方だ。しかし研究結果は、高い自尊心や強い自負を持つ子供の成績の方が、そうではない子供よりよいということはなく、またよい職業につくという結果にもつながらなかった。そのうえ、自尊心や自負と飲酒や暴力との関係も見られなかった。

　ニューヨーク市で５年生を対象とした調査では、一度あるやさしいテストを受けさせその結果に対し子供たちを「君は頭がいいからこのテストができた」という褒め方したグループと、「君はほんとうによく努力した」という褒め方をした２つのグループに分けた。そして、次に子供たちにもう一度テストを受けさせるのだが、この時、１度目のテストよりも難しい、しかしより調査の助けとなるテストと、１度目と同じくらいやさしいテストを受けることができる選択を与えた。結果は努力を褒められたグループの９０％が難しいテストに挑戦し、頭のよさを褒められたグループの大半がやさしいテストを選んだ。

　大人から褒められることは子供たちにとってとても嬉しいことだ。そのため、頭の良さを褒められた子供たちは、頭がよく「見える」結果を求め、失敗を恐れたためにやさしいテストを選んだと考えられる。

　調査はさらに続き、３度目のテストでは中学１年レベルの問題を与え、全員がひどい得点になるようにした。ここでも２つのグループは、その結果の対応に違いがあった。努力を褒められた子供たちは、テストに集中していなかったと結論づけ、正しい答えを出せるようにいろいろ試すと答えた。そして、３度目のテストが「一番好きなテスト」だと答えた。一方、頭のよさを褒められたグループは、低い得点を目の前にして自分たちは本当は頭がよくなかったんだと落ち込んだ。

　そうして、４度目、最後のテストは１度目のテストと同じくらい簡単なものが与えられた。結果、努力を褒められた子供たちは約３０％テストの平均点を伸ばした。一方、頭のよさを褒められたグループは約２０％テストの平均点を下げた。

　この調査結果は、自分たちに成功の鍵を握る力があることを分からせることが重要だと教えている。頭のよさは生まれもっての資質であり、自分のコントロールがきかない。そこで、資質を頼りにした子供たちは失敗に直面したときの対処方法が分からなくなってしまった。

　結論としては、子供を褒めるときに子供たちのコントロールが利かない部分を褒めるのではなく、「頭脳は筋肉のようなもので使えば使うほど、頭がよくなる」ことと「よく努力した」ことを言うことで、子供の能力を伸ばすことができ、「生まれもっての頭のよさ」を褒めることは悪影響を及ぼすことがあるということだ。

　このようなこれまでの子育ての常識をくつがえす、あらたな考え方が「睡眠」「才能」「反抗期」「兄弟・姉妹」「学習教材」「自己コントロール」などの分野で調査結果をもとに示されている。

　子育てをおこなううえで、この本を読むと読まないのでは、大きな違いがあると想像できる本だ。



<br></p>
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   <title>『St. Lucy’s Home for Girls Raised by Wolves』Karen Russell(Random House)</title>
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   <published>2009-10-18T17:55:27Z</published>
   <updated>2009-10-18T22:08:13Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「アメリカ・コンテポラリー文学の流れのなかの一冊」 ...</summary>
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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<p><span class="purple">「アメリカ・コンテポラリー文学の流れのなかの一冊」</span></p>
<br>　この本はアメリカ文学界に登場した新鋭作家カレン・ラッセルのデビュー短編集。彼女は『ニューヨーカー』誌の「２５歳以下の注目すべき２５人」のひとりに選ばれ一躍注目を浴びるようになった。

　この作品を読むといまのアメリカ文学（特に短編作品）のひとつの流れが読み取れる。流行という言葉は軽すぎるかも知れないが、この１０年間程度で特に人気が出てきた文学の流れだ。その流れを一言でいうなら「フェイブリズム」、つまり寓話的な文学だ。

　ジョージ・サウンダースを筆頭とするこの部類の作家たちは、例えば８０年代にカヴァーたちが華やかに見せてくれた日常生活の中での「リアリズム」（ジョンは５２歳。今朝、妻のアリスと喧嘩をしてしまい、バーのカウンターに座り酒の入ったグラスを片手に離婚のことを考えている、というような書き方）を意識的に避けている。

　ラッセルの物語の設定は現実から離れているが、描かれる人物には真の感情が読み取れる。表題作の『St. Lucy’s Home for Girls Raised by Wolves』はオオカミ人間を両親に持つ娘たちが、修道女たちの手によって人間社会の決まりを教え込まれる物語だ。その過程は子供の世界から大人の世界への脱皮のメタファーとも取れるが、文化間の衝突の話とも取れ、アメリカという異国で長く暮らす私にとって興味深い物語だった。

　『Haunting Olivia』では、船の墓場で魔法の水中メガネを使ってふたりの兄弟が、海上で行方不明になってしまった妹を探す物語だ。また、ミノタウロス（牛頭人身の怪物）を父に持つ少年の話も出てくる。

　「僕の父、ミノタウロスはどの男より頑固だ。そう、農場を売って四千ポンドもある幌馬車を自分で引っ張って西部に向かうと決めたのは彼だった」

　ラッセルの作品の中では特に子供が重要な役割を果たす。彼らの周りには危険な大人、怪物、生活の中にいない親、もののけなどが徘徊している。主人公たちにはそれらの存在を素直に受けいれてしまう純真さと危うさがつきまとう。そうしてある者は、永遠にもとには戻れない一歩を踏み出す。

　寓話的な小説を書く作家のなかでもラッセルの作品はブラックユーモアを押し出すものでなく、ノスタルジックで、しっとりとした余韻を残すものが多いようだ。そして、作品には『人工雪パレスと雪女』　『混乱したドリーマーたち向けのZZの寝続けキャンプ』など意表を突くタイトルがつけられている。

　若くして高い評価を受けたラッセルの短編集。アメリカ・コンテンポラリー文学の流れの中にある作品だ。
<br></p>
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   <title>『The Great Influenza: The Story of the Deadliest Pandemic in History』John M. Barry(Penguin Books)</title>
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   <published>2009-10-03T16:14:03Z</published>
   <updated>2009-10-03T23:47:04Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「世界を襲ったインフルエンザ大流行の歴史」 　１９１...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="自然科学/ポピュラーサイエンス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「世界を襲ったインフルエンザ大流行の歴史」</span></p>
<br>　１９１８年春。アメリカのカンザス州にあった軍隊のキャンプでインフエンザが流行し始めた。

　アメリカは第一次世界大戦を戦っているさなかで、軍隊のキャンプは人員過剰の状態。その冬は寒さが厳しく、毛布さえも不足しがちだった。多くの人間が一カ所に集まり、寒さに耐えなければならない環境でインフルエンザの流行が始まった。

　しかし、この春のインフルエンザ第１波は症状が軽く、患者たちは数日間で病気から回復していった。人々は、少し症状が重い風邪くらいにしか感じなかった。

　その８週間後、変化を遂げ強力になったインフルエンザの第２波がアメリカを襲った。この本は世界中で１億人の命を奪ったといわれるインフルエンザ流行の記録だ。

　フィラデルフィア州にあった軍隊キャンプではインフルエンザによる死者がでたが、兵士の士気を重視する軍部は積極的な防衛策を講じず、市民にも情報を伝えなかった。

　その結果、フラデルフィア市民にもインフルエンザが流行し１週間に４５００人以上が死亡する状況が生まれた。病院はその患者数の多さに対応できず機能マヒとなり、医師や看護士たちも病に倒れた。

　そんななかで、州政府は「すでに最悪期は過ぎた」と病気への対応より市民感情の沈静化を優先させた。

　しかし状況はさらに悪化し、死者を葬るための棺がなくなり、墓を掘る人間たちもいなくなった。死人がでた家では死体を部屋においたまま、または死者とベッドを共にするという生活を強いられた。

　１９００年初頭はまた、医学界で革新的な技術が生まれていた時期でもあった。

　今回読んだ『The Great Influenza』は、１９１８年のインフルエンザ大流行を伝えるだけではなく、いかに医学界がこの病気と戦ったかを伝える本だった。

　医者たちは病気を治すことから、病気にかからないようにするため技術を編み出しつつあった。

　１９１８年の大流行に直面した医者たちは、まずこの病気の原因をつきとめることに腐心した。発症から死亡までひどいものでは１日もかからない病気の病原体を純正培養し、ワクチンを作る。しかし、病原体がはっきりとせずなかなか成功をみない。一方、街では数千人が日々死亡している。１９１８年の大流行は医学界を永遠に変革させた事象でもあった。

　「今日、１９１８−１９年のアメリカでのインフルエンザ大流行は６７万５０００人を超える死者を出したと考えられている。当時の人口は１億５００から１億１０００万人で、一方２００６年は３億人に達しつつある。そこで、今日の人口数にその比率を合わせると、１７５万人が死亡したこととなる」

　新たな型に変化を遂げるインフルエンザの怖さが分かる本だ。

<br></p>
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   <title>『Go Now』Richard Hell(Simon &amp; Schuster)</title>
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   <published>2009-09-25T00:37:20Z</published>
   <updated>2009-09-25T13:39:06Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「パンクロッカー／作家、リチャード・ヘルのロード・ジ...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="音楽" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「パンクロッカー／作家、リチャード・ヘルのロード・ジャーナル」</span></p>
<br>　９月１０日、かつてCBGBがあったすぐ近くのクラブ、バワリー・エレクトリックでリチャード・ヘルとヴォイドイズの新アルバム「Destiny Street Repaired」のリリース・パーティがあった（バンドの再結成ではありません）。

　この催しの知らせが僕のメール届き、僕は返事を書き、招待者リストに名前を載せてもらった。

　リチャード・ヘルと聞いても知らない人が多いと思う（知ってる人も多いと思うけど）。リチャード・ヘルはパンクがまだパンクと呼ばれていない頃、ニューヨークのダウンタウン・パンクシーンを作り出した男たちや女たちのひとりだ。

  CBGBからは、リチャード・ヘルがいたバンド、ハートブレーカーズやラモーンズ、ブロンディ、リチャード・ヘル＆ヴォイドイズなどが出た。しかし、CBGBをパンクバンドのメッカとしたのはリチャード・ヘルだった。

　僕がリチャードから直接聞いた話によると、リチャードは７０年代初頭当時、ニューヨーク・ドールズがマーサ・アーツセンターという自分たちの小屋を持っていたのをうらやましく思い、冴えないクラブだったCBGBに自分たちのバンドを出すように交渉した。それまでCBGBは（カントリー・ブルーグラス・アンド・ブルース）という店名が示すようにカントリー・ウエスタンやブルーグラスを中心にしていたクラブだった。その頃、CBGBは周辺のバワリー地区の安宿に住んでいるアル中の浮浪者や、地元のヘルズエンジェルズがちらほら来る以外はこれといった常連客がいないバーだった。

　「CBGB’s（リチャードはCBGBとは言わずにいつもCBGB’sという）の話をすると、俺の見方が特権階級的になるのは否めない。というのもCBGB’sの場合は、ある意味で店の創始者だったから、いつも王子様みたいに扱われていた」とリチャードは語っている。

　リチャード・ヘルのパンクへの影響は、イギリスのパンクバンド「セックス・ピストルズ」のメンバーが、シド・ヴィシャスと名乗るなど、ラストネームをヘル（地獄）と同じように、ヴィシャス（悪意のある）などにしたことでも分かる。

　今回リリースされた「Destiny Street Repaired」だが、リチャード・ヘル&ヴォイドイズが１９８２年に発表した「Destiny Street」のオリジナル・リズムトラックにリチャード・ヘルのボーカル、マーク・リボー、ビル・フリゼール、イヴァン・ジュリアン（ヴォイドイズのオリジナル・メンバーだ）のギターが新たに被せられたもの。

　「『Destiny Street』のことを思うといつも気持が重くなった。あの頃はドラッグ漬けでまともな音楽活動ができなかった。今回リリースしたものがこのアルバムのあるべき音だ」と言っている。

　まあ、一度聞いてみて欲しい。１９７０年代終わりから８０年代初めにかけてのニューヨーク・パンクの音がして、心が熱くなること請け合いだ。

　と、音楽のことばかりを書いてしまいましたが、リチャードは詩や本も出版しています。今回紹介するのは彼の小説「Go Now」。

　主人公はパンクスターのビリー・マド。そのビリーが、カリフォルニアからニューヨークまで車で走り、その旅の様子を書く仕事の申し込みを受ける。作家になりたいと思いながらも麻薬とセックスに溺れていたビリーはこの申し出を受ける。

　この申し出の条件はひとつ、以前のガールフレンドであったクリッサがフォトグラファーとして旅に同行すること。

　麻薬を断ち、作家としても認められる機会となるこの旅に、ビリーは１９５７年型のクライスラーのデソトに乗って出発する。

　アメリカの広い大地をいくロード小説は、アメリカ小説の伝統ともいえる。そして、その旅に麻薬とセックスと、孤独感が伴うのも、ケルアックらの作品と似ている。

　しかし、パンクロック時代を代表するミュージシャン／作家によるアメリカ横断ジャーナルは一読の価値がある。

　日本では、滝沢千陽の翻訳で出版されているが、リチャード・ヘル自身が書いたオリジナルの文で読むのもいいと思う。
<br></p>
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   <title>『Days of Atonement』Michael Gregorio(Griffin)</title>
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   <published>2009-08-29T16:18:31Z</published>
   <updated>2009-08-29T23:29:11Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「厳冬のプロイセンを舞台にした歴史ミステリー」 　２...</summary>
   <author>
<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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<p><span class="purple">「厳冬のプロイセンを舞台にした歴史ミステリー」</span></p>
　２年ほど前、取材のためニューヨークにある注文で本の革装丁をやる店を訪れた。映画監督のマーチン・スコセッシからソビエト連邦最後の政治指導者だったゴルバチョフまでがこの店に本の革装丁を頼んだという。<br>
　僕はその店の地下でおこなわれていた装丁作業を見せてもらった。狭い作業所には革の表紙に模様をつける工具がところ狭しと並べらていて、古いもので１８世紀頃のものもあった。

　その中に蜂の紋章をつける工具があり、そこの店主に蜂の紋章はナポレオンが個人的に好んで使っていたものだと教わった。

　店主によれば、労働を惜しまない蜂と自分の姿を重ね合わせたのだという。ナポレンはルイジアナをアメリカに売却した人物でもあるので、アメリカに住む僕には少し親しみを憶える人物だ。

　今回読んだ本は、そのナポレオンが絶頂の時期を迎えていた頃のヨーロッパを舞台にした物語だった。

　舞台となるのは１８０７年のプロイセン。１８０６年１０月の「イエナの戦い」でフランスに敗北したプロイセンはフランスの占領下に置かれている。主人公で、哲学者カントから犯罪捜査を学んだ判事ハノ・シュティフェニースは、ある晩餐会でフランス軍大佐ラヴェドリンと犯罪捜査方法について議論を戦わす。

　数日後、子供３人が殺害され母親が行方不明になる事件が起こり、ラヴェドリンはシュティフェニースとの共同捜査を提案する。

　殺害された子供の父親が兵士として反仏運動の拠点地域にいるため、その地域へのフランス軍からの捜査を阻止するためにシュティフェニースは共同捜査に同意する。

　これが大きな設定となり、この歴史スリラーは進んで行く。

　シュティフェニースは単身父親の行方を捜査し、殺人事件の前にすでに父親が死んでいたことをつきとめる。不自然な死に方で、３人の子供と母親が行方不明となった事件の鍵は父親が死んだこの地にあると彼は確信する。

　一方、ラヴェドリンは事件のあった家に事件を解く鍵が隠されているとし、家を捜査の中心に置く。地元の人々は事件はユダヤ人の仕業だと騒ぎ出す。

　時にはカントの犯罪捜査手法を手助けにふたりは事件を解決しようと試みる。

　厳冬のプロイセンを舞台に二転三転する謎解きは最後まで緊張の糸が切れない物語だった。

<br></p>
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   <title>『At the Center of the Storm』George Tenet, Bill Harlow(HarperCollins)</title>
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   <published>2009-08-09T12:21:39Z</published>
   <updated>2009-08-10T00:06:29Z</updated>
   
   <summary>  →bookwebで購入 「元ＣＩＡ長官が語るブッシュ政府の内幕」 　アメリカ...</summary>
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<name>アメリカン・ブックジャム</name>
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         <category term="法律/政治/国際関係" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p><span class="purple">「元ＣＩＡ長官が語るブッシュ政府の内幕」</span></p>
<br>　アメリカがイラク戦争を始めた頃、ブッシュ政権は戦争に対する国民の支持を得るため究極的なメディア操作をおこなった。

　それは、政府内の要人が戦争を正当化する情報をメディアに漏洩する一方で、テレビなどで政権の担い手がそのメディアの信憑性を楯に情報を操作する手法だ。

　その手法とはこうだ。例えば、 議事内容が秘密となる高レベルの政府会議で、イラクとアルカイダに強い繋がりがあるという見方もあると政府の高官が口にする、またはそれに近い内容のことを口にしたとする。

　その数日後には、その高官がイラクとアルカイダの関係を証明する発言をしたという情報になって大手新聞社の記者にリークされる。

　記者はこのリーク情報をもとに政府会議で高官がイラクとアルカイダに強い繋がりがあると発言したという記事を書く。記事自体はその繋がりが証明されたという内容ではないが、高官がそう発言したこと自体がニュースなので高官の発言記事として掲載される。

　その後、テレビに出た副大統領や国務長官が「大手新聞がイラクとアルカイダに繋がりがあるという報道をしている」と語り、自分たちの有利になる情報をメディアお墨付きの正しい情報としてしまうのだ。

　この一番の犠牲となったのが、元ＣＩＡ長官のジョージ・テネットだ。彼は、大統領、副大統領、国務長官など数人だけが出席した会議で、イラクが大量破壊兵器を有し核兵器を持とうとしている情報は「Slum dunk（絶対だ）」　と言ったとされている。

　テネットのこの「Slum dunk」発言は新聞、テレビなどで大きく報道された。

　そのテネットは９７年ＣＩＡ長官に就任してから０４年に組織を去るまでの活動を語った回想録を出版している。

　ほかでは知ることのできないＣＩＡの活動や、ブッシュ政権との関わりなどが詳細に述べられている。テネットはこの本でいかに「Slum dunk」が全く違った意味となり、政権に利用されてしまったかを回想している。そして、ブッシュ政権は自分の発言などなくとも戦争をやることを最初から決めていたと語っている。

　「私の知る限り、イラクからの差し迫った脅威について政権内での真剣な議論は存在しなかった」

　「時には、戦争を始めてどのくらいの時期にイラクの通貨を変え、ディナール紙幣には誰の肖像を使ったら良いかなどの不可思議な細部にわたる議論がなされていた」

　テネットのこれらの言葉は、イラク戦争に限らず国が「戦争」に向かう時、情報がどう処理されていくかを教えてくれる。
<br></p>
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