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2013年12月04日

『One More Time: The Best of Mike Royko』Mike Royko(The University of Chicago Press)

One More Time: The Best of Mike Royko →紀伊國屋ウェブストアで購入

「マイク・ロイコ、Tell it like it is.」

全米600紙を超える新聞にコラムを提供していたマイク・ロイコ。1997年4月29日に死んでしまったロイコだが、彼のような骨のあるコラムを書くコラムニストはもういない。
ロイコは63年から『シカゴ・デイリー・ニュース』紙にコラムを書き始め、その後『シカゴ・サン・タイムズ』紙に移り、最後は『シカゴ・トリビューン』紙でコラムを書いた。

「売れる」新聞作りだけを目指すメディア実業家ルーパート・マードックに反発して、84年に移った『シカゴ・トビューン』紙時代に、ロイコのコラムはシンジケーション化され、瞬く間に米国だけで600を越える新聞に掲載されるようになった。

年代によって異なるが、ロイコは毎週4本から5本のコラムを書き続けた。

ロイコのコラムを読んでいると、ある風景が目に浮かぶ。それは、まだ僕が大学に入る前のことで、ニューヨーク州のロングアイランドでぶらぶらしていた時のことだ。

僕は毎晩のように、「マーティズ・バー」という労働者が集まる酒場に通った。薄暗い店内にジュークボックスと玉突き台が置いてあり、気が向けば客同士で玉突きをやる。オーナーでバーテンダーのマーティは「マイ・ウェイ」がジュークボックスから流れると、必ず一緒になり大声で歌った。

そんな酒場のカウンターに座り、たまたま隣に座った男から話を聞いている。ロイコのコラムはそんな気分にさせてくれる。ロイコの言葉の使い方や、時にはひねくれたその理論などからその雰囲気が醸しだされる。でも、まあロイコなら「理論」なんていう野暮な言葉は使わないだろうな。ロイコ流に言うなら、その「話の筋のつけ方」が彼のコラムの魅力だ。

この本は、手術を前にしたロイコが最後にもう1冊のコラム集を出すことを希望したもので、彼は妻のジュディにその意志を託し死んでいってしまった。

この「One More Time」は、家族や古くからのロイコの友人たちが、8000もある残されたコラムの中から選び抜いたものだ。

どの頁を開いてもロイコ独特の風刺とユーモアに溢れ、そして時にはセンチメンタルなコラムが楽しめる。英語で言うなら「Tell it like it is」。これが終始変わらなかったロイコのスタイルだと思う。

ロイコはシカゴ・カブスの大ファンでもあった。彼の一般の葬儀は、カブスのホームグラウンドである「リグレイ・フィールド」でおこなわれた。 


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