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2013年10月04日

『Captain Outrageous』Joe R. Lansdale(Vintage Books)

Captain Outrageous →紀伊國屋ウェブストアで購入

「おとぼけ二人組の痛快アクション小説」

アメリカの北東部の大学生たちは、三月の学期の途中に二週間ほどあるスプリング・ブレーク(春休み)には、気の合った仲間たちとフロリダに遊びに行くのが一種の伝統となっている。
大学のある寒い街を離れ、ビーチ沿いの温かいフロリダの街でめちゃめちゃに羽根を伸ばすのだ。男子学生も女子学生も、初めから遊ぶ気いっぱいなので、学生に乗っ取られた街は一時的に「セックス・ドラッグ・アンド・ロック・ン・ロール!」の世界になってしまう。

僕がボストンで学生をやった八〇年代にはメキシコのリゾート地、カンクンがすでに学生が押し寄せる街になっていた。

そのカンクンから南にバスで一時間ほどのところにプラヤ・デル・カルメンという町がある。カンクンに比べると小さいが、観光地として人気のある町だ。

今回、読んだのはこのプラヤ・デル・カルメンが舞台となったコミカルなアクション・サスペンス小説だ。

物語はアンチ・ヒーローのハップ・コリンと相棒、レオナード・コリンズが活躍するシリーズの第六作目となる。

ふたりが守衛として働く会社の社長の娘を、ハップが助けたところから物語は始まる。ハップはそのお礼としてお金と休暇を社長からもらう。彼が選んだ休暇の過ごし方は、レオナードを連れてのクルーズ船旅行だった。しかし、クルーズ船がプラヤ・デル・カルメンに寄港した時に、いさかいを起こした船の乗務員にだまされプラヤ・デル・カルメンに置きざりにされてしまう。そこから、事件が始まり、ふたりは地元マフィアのボスと戦うことになる。

ふたりの戦いに手を貸すのが、私立探偵のジム・ボブ・ルークとハップのガールフレンドであるブレット。この四人が揃えば、物語はもう止まらない。メキシコのチリがたっぷり振りまかれたような会話が交わされ、暴力事件が次々と起こる。

ハップは一時、事件を忘れようとするが、新たな事件が起こり、どうしても問題に巻き込まれてしまう。気のすすまないまま道を少しずつ歩いている内に、気がつくと敵の真只中に到着してしまったというような展開だ。

脇役たちのキャラクターも面白い。特にブレットは職業が看護婦のくせに品のない言葉を臆面もなく口にするところがいい。

エンディングはハッピーエンドといえるが、友人を失い、守ろうとした人間も殺されてしまうというほろ苦さが残るものだった。

痛快さのなかにもペーソスが漂うエンタータインメント作品だ。


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