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2011年07月20日

『Area 51 : An Uncensored History of America’s Top Secret Military Base』 Annie Jacobsen(Little Brown & Co )

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「エリア51で働いた人々からの証言」


 もしあなたがレポーターで、ある夕食時親戚の小父さん(夫の小父の妻の姉妹の夫)が「凄い話があるんだ」と言ってきたらどうするか。

 そしてその小父さんがロッキード社のレーダー・マンといわれた物理学者で、世界でも最も謎の多い軍事施設である「エリア51」に働いていたとしたら。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、国家安全保障関係のレポーターでロサンゼルス・タイムズマガジンにも数多く記事を寄せるアニー・ジェイコブセンによる「Area 51」はこうして書き始められたという。

 そして話を聞かせてくれたのはエドワード・ロヴィック(彼は「Radar Man」というステルス技術の歴史に関する本を書いている)。

 ロヴィックはアニーに自分の知り合いのネットワークから、本を書くためにインタビューする人々を紹介した。

 この本でアニーがインタビューをした人間はエリア51に属していた19名。そして、この秘密施設に何らかの関係があった科学者、パイロット、エンジニアなど55名だ。

 特にインタビューの中心となっているのは、ロヴィックはもちろん、米国の偵察機U2で初めて当時のソ連上空を飛んだハーヴィー・ストックマン、エリア51のベースコマンダーだったヒュー・スレーター。そしてエリア51の購買マネジャーだったジム・フリードマンなどだが、最も重要な人物としてはエリア51で長年警備員として働き、施設内の多くの場所にアクセスがあったリチャード・ミンガスがあげられる。

 物語はエリア51の誕生から、そこで行われたU2偵察機の開発プログラム、ステルス機の開発プログラム、原爆実験プログラムなどが時系列で語られている。これらのプログラムの多くが1990年代から2000年代にかけ機密扱いから外され、米国政府により資料提供がなされている。

 しかしエリア51というと、UFOや宇宙人が施設内にいる、月面着陸はうそっぱちで実はエリア51に月面のセットが組まれそこで撮影されたものだ、などの噂がある。

 この本では有名なロズウェルの事件とその時発見された宇宙人とは何だったのかという謎から、CIAが極秘で情報を集めていたUFOの目撃情報収集プログラム、エリア51の地下基地の話までしっかり題材にし、回答を与えている。

 この本は国家安全保障に関するプロのレポーターに手によるもので、政府からの資料、CIAと軍部の権力闘争、ソ連との冷戦、CIAが使った大衆を欺く手段、テロとの戦いなどを検証。大きな歴史のなかでエリア51がいなかる役割を果たしたかを描いている。

 しかし一方で、エリア51でおこなわれているプログラムは「必要な時に必要な人物に情報を伝える」仕組みになっているので、大統領にも知らされないプログラムが存在するという。

 ある日著者はエリア51に関わったエンジニアと昼食を取った。

 「 私はクルトンを取り上げ・・・『もし私が知っていることがこのクルトンだとしたら・・・知らないことはこの皿くらいかしら』『あなたね〜』と彼は頭を振りながら言った。『本当の真実は椅子も入れたこのテーブルよりもっと大きいんだよ』」

 エリア51にはまだまだ秘密が隠されているようだ。



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