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2007年12月15日

『Marco Polo: From Venice to Xanadu』Laurence Bergreen(Alfred A. Knopf )

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「マルコ・ポーロのワンダー・トラベル」


 1271年、17歳のマルコ・ポーロは父親と叔父と共にイタリアのヴェニスから東方を目指す旅にでた。その旅の様子を描いた書物『東方見聞録』はマルコ・ポーロが口述し、ピサ出身の文筆家ルスティケロ・ダ・ピサが採録編纂したものだ。この書物が出版された時代にはまだ印刷技術がなく、多くの言語に翻訳された本は写本という形により世界に広まった。しかし、祖本はもう残っていない。

 シルクロードを渡り、当時隆盛をきわめていたモンゴル帝国の皇帝フビライ・ハーンのもとに外交官として17年間仕え、約四半世紀の時を経て1295年にヴェニスに戻ったマルコ・ポーロ。今回、紹介するのは優秀な歴史家であり伝記作家でもあるローレンス・バーグリーンがマルコ・ポーロの辿った道とその人物像を追った『Marco Polo』だ。

 この本を読むと人は何故旅に出るのだろうという疑問が心に浮かぶ。マルコ・ポーロは商人であり、商売のために遥かなる旅を始めるのだが、金儲けをしたいのなら国に残って商売をやっていた方がよっぽど儲かったはずだ。

 彼にとって旅は人生のエッセンスだったに違いない。マルコ・ポーロが経験したような旅で最も味わい深い部分は目的地への到着ではない。一番の魅力はそこに到着するまでの道のり、人々とのやりとり、困難な状況を解決していくという旅の課程だろう。

 マルコ・ポーロはフビライに会うまで、シルクロードを渡る旅を3年半ほど続けた。本の最初の100ページほどはこのシルクロードの旅の様子がマルコ・ポーロの人柄とともに描かれている。

 マルコ・ポーロは、シルクロード上に点在する村のなかには、知らない客人が戸口に現れると、その客人をもてなすために何でもやると語っている。主人は、客人が妻や娘と寝られるように数日家を空けることさえすると言う。バーグリーンはこの不思議な風習を種の生存の知恵ではなかったかと解説している。外の社会との交流が少ない小さな村では新しい血が入らないと、近親相姦の危険や劣性遺伝による障害を持つ子供が生まれる可能性が高くなる。そのため、通りすがりの男からでもよいので、違う遺伝子を受け入れる必要があったのだという。

 また、マルコ・ポーロはチベットの空気の薄さ、タクラマカン砂漠の厳しい気候のことなども語っている。

 シルクロードの旅の部分だけでも十分面白いが、その後フビライ宮廷内の力関係、貨幣制度、当時の男女関係、宗教、モンゴル帝国の統治の仕方、黄金の国日本とフビライがみた日本征服の夢のことなどが書かれてあり、まさに遥かなるロマンを感じることができる内容だ。

 そうして、24年間の旅を終えてフビライのもとを離れ、ヴェニスに戻り生活を始めたマルコ・ポーロはジェノバ共和国との戦いで捕虜となり『東方見聞録』を口述した。この本はヴェニスに戻ってからの彼の姿も伝え、1324年の彼の死までを追っている。




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